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ジェラシーはメビウスの如く




Riq.no18 (青峰の幼馴染みで嫉妬する夢)

*夢主設定 青峰・桃井の幼馴染で同学年の帝光生。

※※※

今日から中学一年生。
私は、これから三年間通うであろう、帝光中学校の校舎を見上げる。
幸先良く空は青く晴れ、桜の花びらが舞っているが、これからの三年間を考えると少し憂鬱になる。

「ねぇねぇ大ちゃんっ! 部活何にするか決めた?」
「あー? んな分かり切った事聞くなよ今更。バスケに決まってんだろ。
ここ相当強えーらしいし、楽しみだぜ」

『……あ』
「おぅ、名前じゃん?」
「あっ、名前ちゃんも中学一緒なんだね! よろしくね!」
『…うん、二人共よろしく』

私は幼稚園の頃から、ずっと大輝が好きだった。
でも、大輝とさつきちゃんの仲には、私はどうしたって入り込めなかった。
今まで、何度も二人の仲を見せつけられて苦しかった。

だから私は、この気持ちを封印する事にしたんだ。
バイバイ大輝。……さつきちゃんと幸せにね。
この帝光中学校で、私は新しい恋を探す事にしたから。

…………
…にしても、部活の勧誘が凄くて、歩くのだけでも大変…

ドン! 『わっ!?』
いきなり横から人がぶつかって来て、私は盛大に体勢を崩した。
危うく転びそうになるが、腕をぐいと掴まれて引き寄せられた。

「大丈夫っスか?」
『すみま…!?』

私は恩人を見上げて言葉を失う。
……何、この人? 滅茶苦茶恰好良いんですけど!?

キラキラしたオーラを惜しげも無く放っている金色の髪の美少年。
『み…っ!』
彼はにこやかに首を傾げるが、それまでもが絵になっていた。
「み…?」
『見付けたーーーっ!!!』
「えっ!?何なんスか!???」

それが私と黄瀬涼太の出会いだった。


「へえー、そんな人がいたんだぁ」
『うん、少し話したんだけど、それが面白くて…!でもなぁ…
かなりモテるみたいだから、話しかけるだけでも競争みたいになって大変なんだけどねー』

私と大輝とさつきちゃんは、食堂で一緒にお昼を食べていた。
「名前ちゃん、好きな人がもう出来て良いなぁ」
『さつきちゃんは大輝がいるじゃない!?』
「えー、何言ってんのよ! 大ちゃんはただの幼馴染だよぉ」

私達のお喋りを聞いていた大輝は、不機嫌そうに鼻を鳴らした。
「ったく…っおめーらは何で、いっつも好きだの何だのって話ばかりしてんだよ? 本っ当、よく飽きねーよな…」
「何よ、バスケ馬鹿には、女の子の気持ちなんか分からないのよ!」
「へーへー。恋だの愛だの…やってられっかってーの!」

『…大輝は、バスケ部に入ったんだよね? …で、どう? 練習の方は?』
「どーもこーも、鬼だぜ、鬼。まぁ強えーヤツが多くて面白えけどな! 特によ、赤司と緑間と紫原ってヤツがよ…」

大輝は、バスケ部の話になると、途端に生き生きと話し出す。
そんな彼に半ば呆れ、半ば微笑ましく眺めていたら、さつきちゃんも苦笑していた。

※※※

「キャー!黄瀬くーん!!」
校庭には黄色い声が飛び交う。
「凄いよねー! サッカー部でもないのに、リフティングが100回超えてるよ!!」
『…本当に、何でも出来るんだねー…』

彼を見て、私は感心すると同時に気がかりな事があった。
……あんなに、何でも出来るのに…何だか楽しくなさそう…

彼は、もう飽きたかの様に、ボールをゴールに蹴り込んだ。


そして彼は二年になってから、運命の出会いを果たす。

『えーっ!?黄瀬君、バスケ部に入ったの!??』
「そうっスよー! 青峰っちって、凄いプレイするっすね! 俺、そんけーするっス!!」
『……青峰っち…?って。まさか…』

もしかしなくても、大輝の事かーーー!?

私は屋上で、お弁当を広げながら大輝を睨む。
今は話があるから、と大輝だけを呼び出して、一緒にお昼を食べてる。

彼は、いつの間にか黒子君とも仲良くなり、さつきちゃんは"大ちゃん"呼びから"青峰君"呼びに変わっていた。
そして、私が追っかけていた黄瀬君は、大輝に懐いていた。何なのこれ?

「…んだよ?」
大輝は、私の視線に気が付いて顔を顰める。
『…別にー…何でもないけど!』
何だか面白くなくて、私はむっつりと卵焼きを口に運んだ。
大輝は、私の鼻をむぎゅっと掴んだ。

「何でもねーんなら、わざわざ呼び出すな。その仏頂面を止めろ」
『ふがっ!?離してよ!! …大輝、さつきちゃんとの仲は、どーなってんの?』
「どーもこーもねーだろ。さつきはテツを追っかけてんぜ」
『何でそーなっちゃうの!? このヘタレ!!さつきちゃんを黒子君に取られてもいいってーの!??」
「どーしてそーなるんだよ? だから、俺は知らねーってんだろ!! それよりも、おめーの方こそ、どーなってんだよ?」
『何が』
「黄瀬だよ。……おめー…黄瀬の事、好きなんじゃなかったのかよ…?」

好き…って。
私が黄瀬君の事がどうとか言うよりも、大輝がその事を聞いて来たのに驚いて箸を止める。
「隙ありっ!」
『あっ、この!!肉巻きインゲン返せっ!!!』

恋話から互いのおかずの争奪戦に発展して、二勝四敗で昼休みは終わった。

(大輝まで黄瀬君を取らないでよ!)と、そう言おうとしたのに。何でこーなるのよ…
私はがっくりと肩を落とした。

放課後、私は第一体育館に足を運んだ。
『うっわー…凄い人だなー』
既に体育館には女子達が大勢詰めかけていた。
「キャー!黄瀬くぅーん!!」黄色い声援が姦しい。

ただでさえ競争率が激高なのに、更に大輝に取られるとか…
『…ないわー…』

私は口の中だけでぼやきながら、彼等の1on1を注視する。
黄瀬君の身ごなしは、とてもバスケ初心者には見えない。
生来の容姿と相まって、華やかなプレイをする。
が、彼を翻弄する大輝のトリッキーな動きに、私の視線は思わず釘付けになる。

『…相変わらずね。あの出鱈目な動きで何で入るの?』
大輝の動きを無意識に目で追ってしまい、知らず知らずの内に握った拳に力が入る。
『行っけーー!そこだっ!!!』

つい、熱くなって叫んでしまった自分の声に我に返る。
何で私、大輝の方を応援しちゃっているの!? 私は憮然とした。

…まるでこれじゃ、私が大輝の事を好きみたいじゃない…!

そんな事ある訳が無い! 私は、大輝の事は諦めたんだから。
私は想いを振り切る様に、首を振った。

※※※

「それでは、HRを終わります」
今回は、クラスマッチ(球技大会)の競技決めだった。
『私が…バスケ…?』私は呆然と呟いた。

「名前ちゃん、バスケっスか? 良いっスねー」
黄瀬君が苦笑交じりに私に声をかけて来る。
『全然良くないよー…私、シュート決まった試しがないもん。きっと皆の足を引っ張っちゃうよ…』
「シュートって…ええっ!? マジっスか!??」

『…このクラス、女子バスケは諦めて…』私は机に突っ伏した。
「何言ってんスか!? 俺はクラスマッチで青峰っちとでアイスを賭け…ってあわわ」
『アイス賭けてんの? 私がいる時点で勝ち目ないから…』

黄瀬君はうーうー唸っていたが、がばっと顔を上げ、私の腕を掴んだ。
「なら、俺が名前ちゃんにバスケ教えるっス!」
『……は!??』

所謂天才の黄瀬君が私に教えられるんだろうか?
「出来て当たり前」の彼が、出来ない私に…なんて。

とにかく私達は、ストバスコートで練習する事にした。

黄瀬君は軽々とジャンプする。
ガツン!!
「…と、これがダンクっス!」
『出来るかっ!!!』

私の突っ込みに、黄瀬君は口を尖らして頬を膨らます。
「ちょっと名前ちゃんの前で、恰好付けてみたかっただけっスよー。そんなに怒らなくても…」
私は、にこやかに黄瀬君に凄む。
『初・心・者・向・け・の・技・を・お・願・い』
「……じゃあ、背の低い人向けにオーバーハンドレイアップで…」

彼のアドバイス通りにステップを踏む。
「ボードの四角の隅に当てるつもりで!」

始めはタイミングと高さが合わなくて、何度も失敗する。
が、少しずつ様になって来た。
「もう一回っ!!」

私は軽く踏み切って、ふわりとボールを放り上げた。
ボールはボードに当たって、そのまま輪の中に滑り落ちた。
『入ったー!!イエー!』
「やったっス!!」
私達はテンションが上がった勢いでハイタッチする。

「…おめーら。何してんの?」

私は驚いて振り返ると、大輝が不機嫌な表情で突っ立っていた。

「何って、シュートの練習っスよ! 名前ちゃんはクラスマッチでバスケをするんス。
彼女が戦力になれば、うちのクラスの勝率が上がるっスからね!」
『そうそう。黄瀬君、教えるのが意外と上手いんだよー!』
「……意外とは余計っス!」

私と黄瀬君が笑い合うのを見た大輝は、「名前、来い!!」と、強引に私の腕を掴んで引き摺った。
『ちょっとー!? どうしたの、大輝!? 痛いよ!!』
「青峰っち!?抜け駆けはズルいっス!!」

私は訳が分からないままに、大輝に拉致られた。


『一体、どーしたってーのよ? 何で怒ってんの?』
「…………」
『あっ、分かった! アイス賭けてたから、負けるのがイヤなのね?』
大輝は、私を人気のない路地に引っ張り込み、壁に追い込んで、私を挟み込む様に腕を突く。

背の高い彼は私を見下ろし、ぼそりと言った。
「…アイスだけじゃねーんだよ」
『……は?』
私は、彼の言う意味が理解出来ずに首を傾げる。
「おめー…何で黄瀬なんかに教わってんだ…? バスケなら、俺が教えてやんのによ」
『えっ、だって、大輝とはクラスが違うじゃん。クラス対決するんだから、同クラスの黄瀬君に教わるのが妥当でしょ?
……どーしたの? 大輝。何か様子が変だよ?』

大輝は私の顔をじっと見て、暫く言い淀んてから口を開いた。
「……俺が、おめーの事が好きで…他のヤローに渡したくねーから、と言ったら…どーする?」

大輝の爆弾発言に、私は狼狽えた。
『な、何…を…?大輝には…さつきちゃんが……』
「…おめーが黄瀬の事が好きだっつーから、諦めようと思った。
でも……さっきの黄瀬とおめーを見てたら、やけにイラついてよ…おめーを取られるのは絶対イヤだと思った」
『……大輝…っ』

どうしよう。
こんなに至近距離で真直ぐ見つめられると、諦めた筈の気持ちが湧き上がって来る。

封印して、二度と出す事は無いと思っていた、大輝が好きな気持ち。
黄瀬君も好きだと思っていたけど…心の奥底では、ずっと大輝だけが好きだった。

互いに見つめ合ってると、心臓が早鐘を打ち、全身が熱くなっていく。
私は意を決して、彼の顔を見上げた。
『…なら、私が…大輝が好きって言ったら…?』
「…………っ!」

大輝は、驚いた様に鋭い目を見張り、浅黒い顔を傍目にも分かる位に、真っ赤に染め上げた。
「…っ、そんなの…決まってんだろ」

彼は私の両肩を掴み、長身を折り曲げて、私の首元に顔を埋めて囁いた。
「俺のもんにする…嫌だっつっても離さねーからな!」


END

※※※

蓮様

楽しんでいただけたでしょうか?
「青峰の幼馴染で嫉妬する夢」とのお題をいただきました!

青峰に嫉妬するのか、青峰ラブで他の子に嫉妬するのか…?
幼馴染なら、桃井に嫉妬するのか…それとも、夢主がされるのか…??

色々と考えましたが、するのとされるのと両方に落ち着きました。

青峰や黄瀬との絡みは書いていて楽しいです。
素敵なリクエストを、ありがとうございました!




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