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Second stage-1-




Riq.no19 「恐るべきキャラ弁」の桐皇篇

※夢主はRhapsody in Greenの主人公。緑間彼女。秋

※※※

お昼休み、私はクラスの友人達と一緒にお弁当を食べていた。

「ねえ苗字さん、今日は旦那いないの?」
『…旦那?』
「緑間君だよ! 最近、付き合ってんでしょ?」
「おは朝スペシャルには吃驚したもん」
『あ、あれは…っ! 忘れてよー…』

夏休み明け、テレビで全国放送されて以来、私と真太郎は夫婦扱いされている。
『…真太郎と和成君は、今先輩達に呼び出されているよ。バスケ部のミーティングで』
友人達はニヤニヤしながら、やんわりと冷やかす。
「へーえ。折角のお昼なのに、一緒出来なくて残念だねぇ」
『先輩の呼び出しじゃ仕方ないじゃない…』
私はムウッと頬っぺたを膨らます。その時、異変が起こった。

「おい、名前っ!!!」
教室にいきなり、どかどかと遠慮のない足取りで入って来たのは、ここにいる筈の無い人だった。

がっしりとして背の高い、強面で青い髪の浅黒い肌の男。その男の名は青峰大輝。

私は、食べ終わって最後に飲んでいた野菜ミックスジュースを危うく吹き出しそうになった。
慌てて飲み下してから咳き込む。

『ゲホッ…! だ…大輝君!? 何でこんな所にいるのっ!!??』
「おめー、ちょい付き合え!」
『どこへ!? 今、昼休み中だよ? 大輝君は学校は!?』
「だから、その桐皇学園に来いつってんだよ!!!」
『自由か!』

私は唖然とする友人達の前で、青峰君に無理矢理腕を引っ張られた。
「何、名前!?…旦那いない隙に、もう浮気っ!??」
『ちっがーーーうっっ!!!』
「キャー!!略奪愛ね!??」
『ゴシップ週刊誌…っ!?じゃないから!!』

友人に突っ込み入れながらも、青峰君に抵抗すると「チッ!」と舌打ちの音と共に、ひょいと肩に担ぎ上げられる。
「じゃ、こいつは貰って行くからな!」と、彼は騒ぐ友人達に、とんでもない宣言をぶちかますと、そのまま外へと走り出した。


桐皇学園は、秀徳高校からは、電車で暫く乗り継いで行かなければならない。
流石に駅に着いてからは、私は青峰君の肩からは下ろされていた。
私は諦めて大人しくしていた。

『…で? 何で私は拉致られた訳?』
「……おめー…以前、赤司そっくりなリアルキャラ弁作ったろ」
『ああ、あれね。……それが何か?』
「何か? じゃねーよ! あれ以来、おめーに対抗した良の作る弁当が不気味になって、俺はヤツの弁当が食えなくなっちまったんだよ!!!」
『弁当くらい、自分の食べればいいじゃん。お母さん作ってくれるんでしょ?』
「そんなの、いつも昼前には無くなってんぜ」

私は顔を顰めた。
『…それって、早弁してるって事じゃん…』
「俺は育ち盛りでバスケやってっから腹も早く減るんだよ!」
『……それ以上育つつもりか。大体、部活の練習には出てなんかいないでしょーが!』
彼は、私の突っ込みにも意に介さない。
「るっせ!…ヤツをあんなにした責任は取って貰うからな!!!」

……その台詞、色々誤解を受けるから、止めて貰えるかな… 電車に乗っている人達の視線が痛いんですけど。
だだでさえ学生のいない時間帯に、異なる学校の制服の男女が一緒にいるとか、不審がられるのに十分な条件なのに。
補導されたらどうしてくれる。

「で…結局緑間は、その赤司弁当を食ったのか?」
『最初は色々言っていたけど、最後には食べてくれたよ。…眼鏡外してたけど』
「成程なぁ…目の悪ぃヤツにしか使えねー技だよな!」
『なら、大輝君も目隠しすれば…?』との私の提案を、めんどくせーよ、と一蹴されてしまった。我儘か!

『それにしても、よく私のいる教室が分かったね?』
私の疑問に、青峰君はニヤリと口角を上げた。
「出会った生徒達を片っ端から絞め上げて、おめーのクラスと教室の場所を聞いて回ったからな!」
8人目でビンゴだったぜ! と聞いた私は頭を抱え、巻き込んでゴメンと、内心で犠牲者達に手を合わせた。

※※※

桐皇学園に着いた。

私が連れて行かれたのは、教室では無く体育館。

「お、青峰。どーした? 珍しいな、また写真集か?」
「…ん? 何で苗字さん連れて来とるん?」
諏佐さんと今吉さんは、青峰君に続いて入った私を見て、首を傾げた。

「ああっ…!!」
その中で、舞台中央に座っていた人物が、私を見て叫び声を上げて立ち上がった。
「苗字名前さん!?」
『……桜井良君?』

桜井君は、私を見るなり傍に走り寄って来た。
「スミマセン! 僕、どーしても苗字さんに見て欲しいものがあるんですけど!?」
私は桜井君の剣幕に気圧される。
『…えっ? 何?』
「これです!」
どん!と示されたのは、携帯の画面。

私が覗き込むと、そこにあったのはリアルな堀北マイのキャラ弁だった。かなり出来が良い。
「青峰さんのリクエストで作りました!!」
微妙にドヤ顔なのが気にかかるが、それよりも…
改めて見ると、(自分でも作ったけど)リアルキャラ弁って気持ち悪いな。京極夏彦か。

その画面を見た青峰君は怒り出した。
「良っ!!マイちゃんの胸はもっとこうー…形がお椀型で美乳で…もっとでけーんだよ!! 作り直せ!!!」
「スミマセン!!…あれ以上は…っ、蓋を閉めたら胸が潰れちゃうんです!! スミマセン!!!
でも青峰さん、何だかんだ言っても、ちゃんと完食したじゃないですか!!??」

……したんだ…? 完食…
私は半眼になって、青峰君を見やった。

「青峰君っ!!」
もう一人、体育館に入って来た。
「……げ。さつき…!」
「名前ちゃんを無理矢理連れて来たんでしょ!? お弁当なら、私がいつでも作ってあげるのに!!!」
桃井さんは、私に視線を向け、「名前ちゃん、ご免ね?」と、謝りながら私を解放しようとした。

「桃井さん!!余計な事をしないでください!!!」
驚いた事に、桜井君が止めに入った。

桜井君は、私をキッと見据え、ビシッと指を指した。
いつもの謝りキノコと称されてた彼と、とても同一人物と思えない程の激しい剣幕に、私は怯んでしまう。
「僕は…っ、リアルキャラ弁で、きっと君を超えてみせる!!!」

………。

どーするよ、オイ。宣戦布告されてしまったよ。

いや、別に私は、リアルキャラ弁で天辺取ろうとか、これっぽっちも思ってないんですけどね。
でも、桜井君の瞳は真剣そのもので、とても茶化せる様な雰囲気ではなかった。

うーん……
やっぱりこれは…受けて立たなければ女が廃るってヤツか。
面倒だけど…決着つけて彼が納得しなければ、また私はいつ拉致られるか分からない。

私は真直ぐに桜井君の目を見返した。
『……分かった。なら、リアルキャラ弁の勝負する?』
桜井君は、拳をキュッと握り込み、挑戦的な視線を絡ませた。
「……お願いします!!」

※※※

『…すみません。戻りました』
「…大丈夫だったか?…苗字、席に着きなさい」

私は、再戦の約束をしてから、やっと彼等から解放された。
秀徳高校に戻れた時は、もう五時限目が始まっていた。

休み時間になり、私の席に慌てた様に、真太郎と高尾君がやって来た。
「名前、青峰に連れ去られたと聞いた。大丈夫だったか?」
「本当、聞いた時は吃驚したぜー!? "名前ちゃんがガングロイケメンに略奪された!"って、女の子達が大騒ぎだったもんなー」
「……ったく…! 青峰がまさか他校に堂々と入って来るとは思わなかったのだよ!!…何かされたりしなかったろうな…?」

心配している二人に、私はふわりと微笑んだ。
『うん。…二人が心配している様な事は無かったよ。……変な事…って、拉致られて向こうで宣戦布告された事くらいで。
だから明日、放課後に桐皇学園に行ってくるね』

「「宣戦布告っ!!??」だと!!??」
『あはは…まぁ、そんなとこ』
「…何があったか、教えるのだよ!!」


真太郎は、眼鏡のブリッジを上げながら呟いた。
「……成程。…桜井が…」
横では、高尾君がひぃひぃと呼吸困難になりながら笑い転げていた。
「ぎゃははっw…あの、すっげー弁当www思い出すだけでも笑い死にしそう…www!!
ってか、リアルキャラ弁のデスマッチってーwwww!??……ちょー怖過ぎっしょーーww!!!」

真太郎は、苦虫を噛み潰した様に顔を顰めた。
「…くだらん!…名前は、そんなものに無理に付き合わなくても良いのだよ!」
私は諦観に捉われながら、首を振った。
『…そうはいかないよ。桜井君と約束したもん。それに決着をつけなきゃ、またいつ大輝君に文句言われるか分からないし』
「……む」

真太郎は私をじっと見てから、託宣めいた口調で告げた。
「…なら、これを参考にすると良い。おは朝によると、明日の蟹座のラッキーアイテムは……!」

真太郎のお告げを聞きながら、私は明日の勝負に思いを馳せた。




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