地球との恋の紡ぎかた


【ヘイトオル! 暇カ? 暇ダナ?! 出掛ケルゾ! 買イ物付キ合ッテ!】


 ピノからこんなメッセージが届いたのは、昼過ぎのことだった。遅めの朝食を食べて、普段はおざなりになりがちな家のことを片づけて。ソファでまるまる猫の傍ら、片膝を抱えてぼけえとしてた頃だ。

 今日はなんとなく、そんな気分だった。何もしないで、ぼーっとしてたかった。

 そんな矢先の出来事。白い、ガラスのローテーブル。スマホに表示された彼の名前。それを見た瞬間、俺は「うげえ」と呟いていた。

 気づかなかったフリでもしようか。だって面倒くさい。超面倒くさい。けど、そうすると後がもっと面倒くさいんだよなあ。仕方なしにスマホを摘み上げる。

 ヨーロッパ某国。チームメイトのピノ。俺がこの地で何をしてるのかは、もう、言うまでもないよね。


【今日ね、デートだからピノと遊んでらんないの】
【トオル彼女イナイダロ】
【俺、ピノと違って女の子には困ってないからサ☆】
【ムカツク! 俺ダッテ困ッテナイシ! デモトオル、困ッテハナクテモ遊ンデモナイダロ?】


 ほんとやだ。
 ピノって、色恋沙汰に関しては、なんでこんなに鋭いんだろう。基本アホなのになあ。


【もー、うるさいなあ、やだよ何で休日まで一緒にいなきゃなんないのさ】


 ピノは俺がこのチームに来て、最初に話しかけてきた選手だった。MBだ。高い。長い。それが、第一印象。あ、長いっていうのは髪とか顔とかじゃなくって、腕、ね。


【$¥煤ヲ%刀掾I!】
【あー、はいはいわかった、行きます、行きますよ、行けばいいんでしょ、だからそんな騒がないで】
【超ナゲヤリ!】


 尚もぴーちく騒ぎ立てる画面を閉じて、コートを羽織る。「行ってくるね」と声をかけると、水晶玉が一度、瞬いた。

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