04


小テストを終え、紗良が渚と共に下校していると、駅前で本校舎の生徒に遭遇した。

「おい、E組の奴らが居るぜ」

本校舎の生徒2人組は、紗良と渚に対して蔑むような視線を送る。
E組になってからこういう事は何度かあったが、やはり気分の良いものではない。

「そういや、停学明けの赤羽までE組復帰らしいぞ」

「うっわ、最悪。マジ死んでもE組落ちたくねーわ」

その時、ガシャン!とガラスの割れる音が鳴り響いた。

「へー死んでも嫌なんだ。じゃ、今死ぬ?」

見ると、カルマが本校舎の生徒の頭上の壁にガラス瓶を叩きつけていた。

「あっ、赤羽!!」

「うわぁっ!」

本校舎の生徒たちは、カルマの姿を見るとすぐに逃げ去っていった。

「あはは、やるわけないじゃん。ずっといい玩具があるのに。また停学とかなるヒマないし」

「カルマ君……。もう帰ったのかと思ってたよ」

渚がカルマに声を掛ける。

「渚君と紗良に聞きたいことがあってさ」

「聞きたいこと……?」

紗良は首をかしげた。

「そ。殺せんせーのこと教えて欲しいんだ。あの先生さぁ、タコとか言ったら怒るかな?」

「……タコ?うーん、むしろ逆かな。自画像タコだし、ゲームの自機もタコらしいし…」

「そういえばこの前、校庭に穴掘って『タコつぼ』っていう一発ギャグやってたよね」

あの時の殺せんせーの姿を思い出して、紗良はくすっと笑みをこぼす。

「あーやってたね。タコは、先生にとってちょっとしたトレードマークらしいよ」

「ふーん……。あ、そーだ。くだらねー事考えた」

そう言うとカルマは口元を歪めて笑った。

「……カルマくん、次は何企んでんの?」

渚の問いかけにカルマは答える様子もなくただ笑みを浮かべるばかり。

「俺さぁ、嬉しいんだ。ただのモンスターならどうしようかと思ってたけど、案外ちゃんとした先生で」

カルマの背後でゴウっと音を立てて電車が勢い良く通り過ぎる。

「ちゃんとした先生を殺せるなんてさぁ……。前の先生は、自分で勝手に死んじゃったから」

そう言って笑うカルマは、どこか冷たさと狂気を帯びていた。

(前の先生っていうのはやっぱり大野先生のこと、かな……)

そのことをカルマに問うのはなんだか躊躇われて、結局何も聞けないまま、紗良は家へと帰ったのだった。

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