02
E組への差別待遇は、集会でも同じだ。
校長の話でいつものようにE組は笑いものにされ、そのあとの生徒会の発表では、E組の分のプリントだけ用意されていなかった。
「……すみません、E組の分まだなんですが」
磯貝が手を上げてそう言うと、とぼけたような返事が帰ってくる。
「え、無い? ごめんなさーい3−Eの分忘れたみたい。全部暗記して帰ってくださーい」
体育館に生徒達の笑い声が湧き上がった。
陰湿ないじめに、E組の皆はただ黙って俯くことしか出来ない。
その時――。
ぶわっと、E組の生徒の横を何かが通り過ぎ、一斉にプリントが配られた。
それは手書きの生徒会だよりだった。
「問題ないようですねぇ。手書きのコピーが全員分あるようですし」
E組の皆の表情に、少し明るさが戻る。
こんな時、マッハ20の殺せんせーの存在は本当に心強いなと思って、紗良も笑顔になった。
集会が終わり、皆ぞろぞろと体育館を後にする。
「カエデちゃん、先に帰ってて貰っても良い? 私ちょっと用事があって……」
「そうなの? 分かった。じゃあまた後でねー」
バイバイ、と手を振って紗良はカエデと別れた。
このあと紗良は学秀と待ち合わせをしていた。
昨日学秀から連絡があり、少し話をしたいから集会の後待っていて欲しいと言われたのだ。
生徒会の片付けが終わるのにはまだ時間がかかりそうなので、紗良は適当にその辺りを歩いていると、自販機の前で渚の姿を見つけた。
どうやら本校舎の生徒に絡まれているようだ。
相手はいつも渚にちょっかいを出している2人組だった。
「なんとか言えよE組!! 殺すぞ!!」
2人の内の一人が渚に掴みかかっていた。
その様子を見て紗良は慌てて渚の方へと駆け寄る。
「渚君……!」
渚はというと落ち着いていて、静かに微笑を浮かべてこう言った。
「……殺そうとしたことなんて、無いくせに」
渚から放たれる殺気に、紗良はそれが自分に向けられている訳ではないにも関わらず、背筋がゾクリとするのを感じた。
渚に突っかかってきていた二人は少し怯えたように後ずさる。
戸惑いの表情を浮かべる紗良に、渚は笑顔を向ける。
もう先程までの殺気はなくなっていた。
「紗良ちゃん。行こう」
「う、うん……」
その頃、學峯がその様子を理事長室の窓から眺めていた。
エンドのE組が本校舎の生徒を押しのけて歩いて行く。
それはこの学校にとって合理的ではない。
學峯はE組に懸念を抱いていた。
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