06


「じゃあ出発しよっか!」

翌朝、班の皆が揃うと、カエデは元気にそう言った。
修学旅行2日目の今日は、班ごとに暗殺に向いたコースを選び、狙撃に最適なスポットに殺せんせーを誘い込む事になっていた。

4班は近江屋の跡地や八幡神社などを回った後、祇園へと来ていた。

「ここが祇園かぁ」

紗良はきょろきょろを辺りを見回す。
昔ながらの町家が並んでいて、とても風情があった。

「祇園って、奥に入るとこんなに人気ないんだね」

「うん、だから私の希望コースにしてみたの。暗殺にピッタリなんじゃないかって」

「さすが神崎さん、下調べカンペキ! じゃあ、ここで決行に決めよっか!」

「うまく行くといいね」

そんな風に話しながら歩いていると、学ランを着たガラの悪そうな高校生が3人、目の前に現れた。

「ホントうってつけだ。なんでこんな拉致りやすい場所歩くかねぇ」

「……!?」

高校生達は不穏な空気をまとっていて、紗良達は思わず身を固くする。
そんな中で、カルマは動じること無く薄い笑みを浮かべて一歩前へと歩み出た。

「……何、お兄さん達? 観光が目的っぽくないんだけど」

「男に用はねー。女置いておうち帰んな」

相手が言い終わるよりも早く、カルマは不良の頭を掴んで、電柱に叩きつけた。
もう一人がナイフを出して襲い掛かってくるも、カルマは軽々倒してしまった。

喧嘩慣れしているカルマが居てくれて助かった、などと紗良が心の中で思うのも束の間、突然後ろから腕を掴まれた。まだ隠れていた高校生が数名いたようだ。

「きゃっ……!!」

「紗良!?」

カルマが気をとられた隙をついて、高校生がカルマの背後から鉄パイプで思いきり殴った。
その高校生は、昨日新幹線で紗良がぶつかった相手だった。
ゴツッ、と鈍い音が響いて、カルマが地面に倒れる。

「カルマ君っ!!!」

紗良は倒れたカルマを見て、焦って名前を呼ぶ。しかし、カルマが起き上がることはなかった。
渚と杉野も高校生に殴られ、紗良、カエデ、神崎の3人は、無理やりワゴン車に乗せられてしまった。

「おい、車出せ!」

「チョロすぎんぞこいつら!!」

3人を乗せたワゴン車は、どこかへ走りだした。
あまりに突然の出来事に、紗良の目にじわりと涙が浮かぶ。
だけど今は泣いている場合じゃないと、涙をぐっとこらえた。

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