03


放課後、予告通りに殺せんせーとイトナの試合がE組の教室で始まった。

驚いたことに、イトナは触手をもっていて、それを目にした殺せんせーは怒りで顔を真っ黒に染める。

「どこだ。どこで手に入れた。その触手を……!」

「怖い顔をするねぇ。何か嫌なことでも思い出したかい?」

イトナの保護者であるシロが煽るようにして言った。

「どうやらあなたにも話を聞かなければいけないようだ」

「聞けないよ。死ぬからね」

そしてイトナの怒濤の攻撃が始まった。

(殺せんせーが、押されてる……!?)

試合は、明らかに殺せんせーが劣勢だった。
シロのサポートにより圧力光線で動きを封じられた殺せんせーは、イトナの攻撃をもろに受け、どんどん追いつめられていく。

紗良は試合を見守りながら、胸の前でぎゅっと手を握り合わせる。

(もしイトナ君がこのまま殺せんせーを殺すことが出来れば、世界が救える。それなのに……)

このまま殺されてほしくない、そう思った。

この試合で、殺せんせーの弱点が次々と新たに判明した。
でもそれは、本当ならばこの教室で自分たちが見つけたかったことだ。
皆も同じ気持ちのようで、殺せんせーが負けそうな今の状況を喜んでいるものは一人としていなかった。
殺せんせーは、E組で殺したかった。

「殺れ、イトナ!」

シロの掛け声で、イトナが殺せんせーに一気に攻撃をしかける。
しかし予想外に、その攻撃でダメージを受けたのはイトナの方だった。
いつの間にか殺せんせーは生徒達が持っていた対先生用ナイフを床に仕掛けていたのだ。
触手を失い動揺したイトナは、殺せんせーの抜け殻で包まれて教室の外に放り出された。

「先生の勝ちですねぇ。ルールに照らせば君は死刑。生き返りたいのなら、このクラスで皆と一緒に学びなさい」

殺せんせーはイトナを諭そうとするものの、逆にイトナはキレて暴れだした。
しかしすぐにシロの麻酔銃によって眠らされて、イトナはシロに担がれ、E組の教室から去って行った。

2人が居なくなると、教室のピリピリした空気も元に戻り、皆の顔にも安堵の表情が浮かぶ。

「良かったぁ。殺せんせー、あのまま負けちゃうんじゃないかって思っちゃった……」

紗良はホッと息をつく。

「暗殺対象が殺されなくて良かったっていうのもおかしな話だけどね〜」

そんな事を言いつつも、カルマもどこか安心したような表情をしていた。

「ヌルフフフ。先生はこの程度では殺されませんよ」

「殺せんせー……。あの、どうしてイトナ君の触手を見た時、あんなに怒ってたんですか……?」

「……」

紗良の問いかけに、殺せんせーは言葉を迷っているようだった。

「ねぇ、殺せんせー説明してよ。あの二人との関係を」

他の皆も殺せんせーに質問を浴びせる。

「殺せんせーは、どういう理由で生まれてきて、何を思ってE組に来たの?」

しかし、その質問に殺せんせーが答えてくれることはなかった。

「残念ですが、今それを話した所で無意味です。先生が地球を破壊すれば、皆さんがな何を知ろうが全て塵になりますからねぇ」

「……!!」

「知りたいなら、行動はひとつ。殺してみなさい、暗殺者と暗殺対象。それが先生と君たちを結びつけた絆のはずです」

そう言って殺せんせーは、教室を後にした。

殺せんせーが何故このE組で先生をしているのか、理由は分からないけれど、その答えを見つけ出すためにも今は暗殺を精一杯頑張ろう。紗良はそう思った。

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