02


鷹岡の体育の授業が始まった。
まず最初に皆に配られたのは、新しい時間割。
紗良はその時間割を見て、絶句してしまった。

(なに、これ…!?)

その時間割はなんと10時間目まであり、4時間目以降は夜9時まで全部訓練で埋まっていた。

「ちょ、待ってくれよ! 無理だぜこんなの!」

これでは勉強の時間も足りないし遊ぶ時間もない、と前原が鷹岡に抗議する。
するとあろうことか、鷹岡は前原の頭を乱暴に掴み、腹に膝蹴りを入れた。

「がはっ…!」

前原は腹を抑えながら地面に倒れる。

「出来ないじゃない、やるんだよ。俺達は家族で俺は父親だ。世の中に父親の命令を聞かない家族がどこにいる?」

そう言う鷹岡の目は狂気を帯びていて、予想外の事態にクラス全員言葉を失ってしまった。

「お前達は大事な家族だ、父親として一人も欠けてほしくない」

鷹岡は一見優しそうな言葉を並べながら、生徒の周りを歩く。

「家族全員で地球を救おうぜ。なっ!」

紗良は鷹岡に肩を組まれ、ビクッと体を揺らす。

「お前は父ちゃんについてきてくれるよな……?」

脅しのようなその言葉に、紗良は言い知れない恐怖を感じた。
紗良は幼い頃に父親を亡くしており、父親の記憶はあまり残っていないが、思い出されるのは優しい記憶ばかりだった。
鷹岡のような人物を父親だと思えるわけがなかった。

「わ、私は……」

恐る恐る、しかしはっきりと答えた。

「い、嫌です。あなたは、私のお父さんじゃない……。あなたには、ついて行きたくありません」

その言葉を聞くと、鷹岡は手を振り上げ、それを勢い良く振り下ろした。

「きゃっ」

頬を思い切り叩かれ、紗良の身体は大きく飛ばされた。

「紗良ちゃんっ!!」

渚君とカエデが駆け寄ってくる。

「やめろ鷹岡!!」

烏間も紗良に駆け寄り身体を支え、大丈夫か?と声をかける。

「だ、大丈夫です……」

地面に倒れた勢いで足を擦りむいており、少し血が滲んでいた。

「一応消毒したほうがいいな。誰か彼女の手当てを……」

烏間がそう言うと、殺せんせーがやってきた。

「大丈夫ですか一瀬さん!? すぐに手当てしましょう!!」

そう言うと殺先生は紗良を抱えてマッハで校舎へ戻って行った。

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