03
紗良は殺せんせーに抱えられてE組の教室へと戻ってきた。
教室の扉を開けると、そこには机につっぷして寝ているカルマの姿があった。
カルマは紗良と殺せんせーに気づき、顔を上げた。
「紗良……?」
紗良が怪我をしているのを見てカルマは眉をひそめる。
殺せんせーは紗良を椅子に座らせると救急箱を机に置いた。
「カルマ君、一瀬さんの手当をお願いできますか? 私はすぐ他の生徒の様子を見に戻らなければいけませんので……!」
大量に汗をかきただ事じゃない様子の殺せんせーを見て何かを察したのか、カルマは「分かった」と少し神妙な面持ちで答えた。
殺せんせーはすぐに戻っていって、教室にはカルマと紗良の二人が残された。
「怪我してるとこ、見せて」
「うん……」
カルマは手際よく傷口を消毒してガーゼで覆う。
「はい、できた。で、何があったの? ただ転んだって訳じゃなさそうだけど」
「実は……」
紗良は先ほど起こった出来事をカルマに全て話した。
「なるほどね……。だから言ったのに。あいつはろくな奴じゃないって」
紗良はカルマの言っていたことが正しかったと、今になってようやく分かった。
先ほどの鷹岡の事を思い出すと、背筋がぞくりと震える。
こんなに怖い思いをしたのは、修学旅行で拉致された時以来だ。
「ごめんね、カルマ君の言うことちゃんと聞かなくて……」
紗良が俯いてそう言うと、カルマは紗良の頭を自分の胸に引き寄せた。
「!」
「俺の方こそごめん。こんな事になるならもっとちゃんと忠告しとけばよかった」
「カルマ君……」
「殴られたんでしょ。怖い思いしたよね」
「……うん」
紗良はカルマのシャツをギュッと掴んだ。
(カルマ君に抱きしめられてると、落ち着く……)
紗良は先ほどまでの恐怖心が和らいくのを感じた。
そのまましばらく抱きしめられていたが、窓がコンコンコンと慌ただしくノックされる音が聞こえ、紗良は慌てて体を離した。
音のした方に顔を向けると、そこにはビッチ先生がいた。
「ビッチ先生じゃん。何? 邪魔しにきたの?」
カルマは不機嫌そうにそう言いながら窓を開ける。
何やらビッチ先生は焦っている様子で、窓から身を乗り出すようにしてこう言った。
「ちょっとあんたたち! いちゃいちゃしてる場合じゃないわよ! 渚が……!」
ビッチ先生に促されて紗良とカルマが校庭に向かうと、そこには鷹岡と対峙する渚の姿があった。
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