07
プールの水には触手の動きを弱める薬品が混入されていたようで、殺せんせーの触手は水を吸って赤く膨れ上がっていた。
殺せんせーはイトナの攻撃に圧倒され、防戦一方だ。
「まじかよ……。あの爆破はあの2人が仕組んでたとは」
「でも押されすぎな気がする。あの程度の水のハンデはなんとななるんじゃ?」
「水だけのせいじゃねー」
「寺坂……!」
「力を発揮できねーのは、お前らを助けたからよ。見ろ、タコの頭上」
今にも落ちそうな状態で、原が木の枝にしがみついている。
それに気をとられて、殺せんせーは戦いに集中できないようだ。
「お前ひょっとして……今回の事全部奴らに操られてたのか!?」
磯貝の問いに、寺坂は自嘲気味に、フンと笑う。
「あーそうだよ。目標もビジョンも無ぇ短絡的な奴は……頭の良い奴に操られる運命なんだよ。だがよ、操られる相手ぐらいは選びてぇ」
寺坂はそう言うと、カルマの方に向き直った。
「だからカルマ! テメーが俺を操ってみせろや。その狡猾なオツムで、俺に作戦与えてみろ。完璧に実行して、あそこにいるのを助けてやらぁ!」
「良いけど……実行できんの俺の作戦? 死ぬかもよ」
「やってやんよ。こちとら実績持ってる実行犯だぜ」
寺坂は自信たっぷりにそう告げる。
そしてカルマの作戦で、寺坂はイトナとタイマンを張ることになった。
「イトナ! テメェ俺とタイマン張れや!!」
殺せんせーが寺坂を止めようとするも、すっこんでろと言って聞かなかった。
「健気だねぇ。黙らせろ、イトナ」
シロがイトナに攻撃の指示を出す。
「ねぇカルマ君、大丈夫なの……!?」
紗良は心配そうな表情を浮かべてカルマに問いかける。
「いーんだよ。あのシロは、俺たち生徒を殺すのが目的じゃない。生きているからこそ、殺せんせーの集中力を削げるんだ」
カルマの言う通り、イトナの攻撃は寺坂を殺すほどの威力はなく、寺坂は触手をシャツでなんとか受け止めた。
「よく耐えたねぇ。イトナ、もう1発あげなさい」
「……っくしゅん!」
イトナが突然くしゃみをし始めた。
寺坂のシャツは、昨日教室に撒いたスプレーの成分を吸い込んだシャツで、イトナもその影響でくしゃみが止まらなくなったようだ。
イトナに隙が出来たことによって、原は無事に救出された。そして、E組の皆は川に飛び込んでイトナに水をかける。
イトナの触手も水を吸って膨れ上がった。
「で、どーすんの? 俺らも賞金持ってかれんの嫌だし、そもそも皆あんたの作戦で死にかけてるし。ついでに寺坂もボコられてるし」
E組の皆はバケツやビニール袋で水を掛ける体制を整えてイトナを囲む。
「まだ続けるなら、こっちも全力で水遊びさせてもらうけど?」
「……してやられたな。ここは引こう。この子たちを皆殺しにでもしようものなら、反物質臓がどう暴走するかわからん。帰るよ、イトナ」
シロはそう言うと、イトナと共に去っていった。
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