03
空港の展望デッキから、学秀の乗った飛行機が飛んでいくのを紗良とカルマは眺めていた。
「行っちゃったね……」
「だねー」
小さくなっていく飛行機を見ながら紗良はため息を吐く。
「はぁ……。大学生になったら、カルマ君とも離ればなれになっちゃうんだね……。寂しくなるなぁ」
「中3からずーっと、一緒だったのにね」
「うん……」
紗良とカルマは中3から高3までずっと同じクラスだった。
一緒にいた時間が長い分、離れてしまう事がより寂しく感じてしまう。
「まぁ大学は別になっちゃったけど同じ都内だしさ、いつでも会えるって」
「そう、だね……。でもやっぱり、寂しいな……」
「……紗良、また泣いてんの?」
「うぅ……だってっ……ひっく」
いつでも会えるとは分かっていても、寂しいものは寂しいのだ。
再び泣き出してしまった紗良に、カルマは少々呆れつつも優しく頭を撫でてくれる。
「紗良はほんとに泣き虫だねー」
「ご、ごめんなさい……」
「別に謝る事じゃないけど。……しょうがないから、泣き虫な紗良にプレゼントあげる」
「え、プレゼント……?」
涙目できょとんとする紗良に、リボンのついた小さな箱が手渡された。
「これあげるから泣き止んで」
「……?」
リボンを解き、箱を開けると、そこには――。
「ゆ、指輪……!!」
箱の中にはシンプルなデザインのリングが2つ並んでいた。
「そ、ペアリング。手、出して」
カルマは紗良の手をとると、小さいほうの指輪を紗良の指にそっとはめる。
まるで最初からそこにあったように、それは紗良の左手の薬指にぴったりとはまった。
思いがけぬプレゼントに、紗良は呆然と自分の手にはめられた指輪を眺めている。
「……さっきはいつでも会えるって言ったけどさ、今までみたいにずっと一緒には居られないから……。でもそれつけてれば、俺がそばに居なくても紗良は俺のものだって主張できるでしょ?」
そう言って、カルマは紗良の手を取り持ち上げると、顔を近づけて指輪にチュッと口づけた。
「……っ!」
「とりあえず、この指は俺が予約済みってことで」
カルマは顔を真っ赤に染めた紗良を見て満足そうな笑みを浮かべる。
「ちゃんと大学につけて行ってよ? 他の男によそ見したら許さないから」
「し、しないよ! だって……カルマ君よりカッコいい人なんて、居る訳ないもん」
紗良はそう言うと、赤くなった顔を隠すようにカルマの胸に飛び込んだ。
「カルマ君、ありがとう。大好き」
「……俺も」
「予約、キャンセルできないからね……?」
「とーぜん」
予約の時間 end
2016.01.02
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