02


そして、作戦実行の時はやってきた。

授業をサボろうと、しれっと教室を出て行ったカルマを紗良は追いかける。

「カルマ君っ! 待って……!」

「ん?」

歩みを止めて振り向いたカルマに、紗良は正面からギュッと抱きついた。

「!?」

「い、行かないで……」

紗良はカルマの胸に顔をうずめてそう言った。

「……。どうしたの? 紗良」

「カルマ君……また授業サボるの……?」

「そのつもりだけど……」

「だ、だめだよっ」

「なんで? どうしたの急に」

「だって……」

紗良はカルマに抱きついたまま、うるうるとした瞳で上目遣いで見上げる。

「カルマ君が教室にいないと、寂しいんだもん……」

殺せんせーとビッチ先生曰く、これで落とせる!との事だ。
落とせる、というのは何か趣旨が変わってしまっているような気はするが、紗良は言われたままに実行した。

「……」

カルマはしばらく無言で紗良を見つめた後、ギュッと抱きしめ返してこう言った。

「……誰に頼まれたの?」

「えっ!?」

「殺せんせーにでも頼まれた? ビッチ先生も噛んでる感じかな」

「!! ど、どうして分かったの……?」

「やっぱりそうなんだ? だって、恥ずかしがり屋の紗良が自分からこんな行動とるわけないし」

「うぅ……」

カルマのほうが一枚上手だったようで、全て見抜かれてしまった。
紗良は心の中で、殺せんせーごめんなさい、と謝った。

「でも紗良から抱きついてもらえて、俺的にはラッキーだったかな。全部先生の指示っていうのはちょっと癪だけど」

「……全部じゃ、ないよ?」

「え?」

「今回のことは先生に言われてやったことだけど……カルマ君がいないと寂しいって思うのは、本当だよ?」

「……。それも作戦?」

「え?」

「……あー、もう。分かったよ」

カルマは半ば投げやり気味にそう言うと、紗良の手を引いて教室の方へと引き返す。

「なるべく授業出るようにするから」

「……! うんっ!」

それからというもの、カルマが授業をサボることは激減したのだった。



作戦の時間 end

2017.0313

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