01


※大学生になって数ヶ月後ぐらいのお話
※大学は別々の大学に進学し、二人はそれぞれ独り暮らしをしています。まぁまぁ近い距離です





「……遅い」

時刻は23時過ぎ。
カルマは自分の部屋のソファに寝転がり時計を眺めながら、苛立ったようにそう呟いた。

今日紗良は大学のサークルの飲み会に行っていて、そういう時は終わったらカルマが迎えに行くことになっているのだが、今日はいつまで経っても連絡が来ない。
送ったメッセージも既読がつかないし、電話も繋がらず、カルマは盛大に溜息を吐いた。
やがてソファから身体を起こすと、上着を羽織って外へと出た。



***



「まだ帰ってない、か」

紗良の住むマンションの部屋のチャイムを鳴らしてみるも、反応はない。
カルマは合鍵を使って紗良の中へ入り、適当にリビングに腰をおろして途中で買ってきたいちご煮オレをすすった。

「あーあ。行き先聞いときゃよかった」

場所が分からないので迎えに行くことも出来ない。
高校まではずっと同じクラスだったから大体の行動を把握できていたけど、大学生になり学校が離れてしまってからはそうはいかなくなり、もどかしさを感じる。
いっそのことGPSでもつけておきたい、なんて考えていると、ガチャリと玄関の鍵の開く音が聞こえた。
やっと帰ってきたようだが、玄関に入ってくる足音は何故か二人分。
カルマがリビングから玄関を覗くと、見知らぬ男と、その男に支えられている紗良がいた。
紗良はだいぶお酒が回っているようで、赤い顔でぼーっとしていて足元もふらついている。
男はカルマが居ることに気づくと、部屋に上がろうとしていた足を止め、動揺した様子を浮かべる。

「え、えーっと……。もしかして、彼氏さん?」

「そうだけど。あんた誰」

「俺はサークルの同期で……彼女かなり酔ってたみたいだから、その、送り届けに……」

男はしどろもどろに答える。
どうせあわよくばいただいちゃおうとか思っていたんだろうが、そうはいかない。

「それはどーも。送り狼出来なくて残念だったね」

カルマが挑発するようにそう言うと、男は大げさに手を振って否定した。

「い、いやいや、そんなつもりじゃ……! フラフラしてて一人では危なそうだったから……」

そう言って男は苦笑いを浮かべる。

「ふーん。じゃあ今回はそういう事にしといてあげてもいいけど。……次はないから」

軽く殺気のこもったカルマの冷たい声に、男は表情を引きつらせて逃げるように帰っていった。



***



カルマはとりあえずふらふらしている紗良をソファに座らせた。
明らかに不機嫌な表情を浮かべているカルマとは対象的に、紗良はのほほんとしていて眠たそうにふわぁと欠伸を零している。

「……紗良」

「カルマくん、ただいまぁ」

「ただいまじゃなくて。他に言うことあるでしょ」

「……? カルマくん、大好きだよー。えへへ……」

「……っ、あぁもう、そうじゃなくてさ……」

カルマは額に手を当てて項垂れる。

「人の気も知らないで……」

説教するつもりだったけど、この状態では無理だと悟った。



***



翌朝。
目を覚ました紗良は、隣にカルマが居ることに気づいて、不思議そうに瞬きをする。

「……あ、あれ? どうしてカルマ君が居るの……?」

「さぁ、なんでだろうね?」

そう言ってカルマはニコリと笑顔を浮かべる。
あ、これはかなり怒っている時の笑顔だ、と察知して紗良は顔を青くした。



お説教の時間 end

2017.12.10

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