04
(カルマ君は、奥田さんのことが……?)
もやもやとした感情が胸の中に広がっていく。
カルマと奥田はとても仲がいい。
カルマがイタズラグッズを奥田に頼んで作ってもらっている光景を紗良もよく目にしている。
イタズラというレベルを超えているんじゃないかと思うような恐ろしい効果のものもあって紗良はおっかなく感じることも多々あったけれど、当の2人はとても楽しそうで、そんな2人の様子を思い出して胸がチクリと痛んだ。
午後の授業は午前以上に集中できず、あっという間に放課後になった。
ぞろぞろと皆が教室から出ていく中で、長い昼寝を終えたカルマが教室に戻ってきた。
「紗良、帰ろ」
そう言って荷物を手に持ち、教室を後にする。
紗良もカルマに続いて教室を出た。
(もしも、カルマ君が奥田さんと付き合ったりしたら、もうこんな風に一緒に帰ることも出来なくなるのかな……)
旧校舎からの山道を下りながらふとそんなことを考えて、胸が苦しくなる。
いつだって、紗良の隣にはカルマが居た。いつしかそれが当たり前になっていて、これからもずっとそうなのだと、ずっと一緒に居られるものだと無意識に思っていた。
でも、そうじゃない未来の可能性もあるんだということに気がついて、どうしようもなく不安になった。
「紗良、大丈夫? なんか顔色悪いけど……って、泣いてんの!?」
「……っ」
紗良の目からポロポロと涙が溢れて、地面にしみを作っていく。
「……どうしたの、紗良」
カルマは急に泣き出した紗良に驚きつつ、紗良の背中を優しく撫でる。
「もう今までみたいに、カルマ君と一緒に帰ることも出来なくなるのかなって……」
「……どういうこと?」
「カルマ君……」
紗良は顔を上げてカルマの瞳を見据える。
「私……私ね、カルマ君のことが好き。だからこれからも一緒に居たい。もしかしたらカルマ君はもう私の事好きじゃないかもしれないけど……」
「待って。ちょっと待って」
紗良の突然の告白にカルマは面食らったような様子でそう言った。
「なんで、俺がもう紗良の事好きじゃないみたいになってんの?」
「え? だって、カルマ君は奥田さんの事が好きなんじゃ……?」
「はぁ?」
「だ、だって、カルマ君が奥田さんのこと気になってるって言ってたって、聞いて……」
カルマはしばらく考えたあと大きなため息を吐いた。
「……それ、多分修学旅行の時の話だと思うけどさ、」
「え? 修学旅行?」
修学旅行といえば紗良がカルマに告白された時だ。
どういうことだろうと紗良は混乱する。
「気になるって言ったのは単にイタズラの幅が広がりそうだから、って意味で言っただけだから」
「イタズラ……」
「俺が好きなのは、紗良だけだよ」
「……!」
「安心した? っていうか、それで泣いてたの?」
「だ、だって……もうカルマ君と一緒に居られなくなっちゃうのかなって思ったら……辛くて……」
勝手に勘違いして泣いてたことが恥ずかしくなってきて、紗良は顔を伏せる。
「紗良がそんなに俺のこと好きだったとは知らなかったな〜」
カルマはいつもの調子でからかうようにそう言って笑った。
「……うん。好きになっちゃってたみたい」
紗良から素直にそんな返答が返ってくると思ってなかったカルマは、少し驚いたような表情をしている。
「伝えるのが遅くなっちゃってごめんね……。私、カルマ君の事が、好きです」
紗良は照れたように、少しはにかんで改めてカルマにそう告げた。
カルマの顔が少し赤い気がするのは、きっと夕日のせいだけじゃないだろう。
(これからもずっと、カルマ君の隣にいられますように)
告白の時間 end
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