03
一方その頃、紗良とカルマが付き合い始めた事など知る由もない浅野学秀は、理事長室を訪れていた。
「理事長。あなたのご意向通り、A組の成績の底上げに着手しました。これでご満足でしょうか?」
A組は期末テストに向けて、五英傑を中心としてクラス全員で自主勉強会を行っていた。
「浅野君。必要なのは結果だよ。結果の伴わない報告は意味がない。A組全員がトップ50に入り、五教科全てでA組が一位を独占するのが合格ラインだ」
とても親子とは思えない会話を繰り広げる浅野親子。
「分かりました、理事長。僕の力でその条件、クリアさせましょう。そしたら生徒ではなく息子として、ひとつおねだりをしたいのですが」
「おねだり? 父親に甘えたいとでも?」
「いえいえ。僕はただ、知りたいのです。E組の事で、何か隠していませんか?」
「……」
「不審者の噂もありますしね。空飛ぶ黄色い巨大タコを見たとか、コンビニスイーツを買い占める黒尽くめの男とか。Gカップ女子の背後でヌルフフフと笑う謎の声がした、とか……。まぁ、これらは根も葉もないデマでしょうが」
「……知ってどうする? それをネタに私を支配する気かい?」
「当然でしょう。全て支配しろと教えたのはあなたですよ」
「……フフフ。さすがは最も長く教えてきた生徒だ」
「ははは。首輪つけて飼ってあげますよ。一生ね」
はははは、と不穏な空気の中笑い合う二人。
(理事長は確実に、何かを隠している…)
学秀は、理事長がE組について重大な何かを隠しているという疑念を確信に変えた。
「……では、失礼します」
パタリ、と理事長室のドアを閉め、学秀は部屋を後にした。
スタスタと廊下を歩きながら、考えを巡らせる。
(A組が良い成績を納めたとしても、理事長からE組の秘密を聞き出すのは難しいだろう。適当に誤魔化されて終わるのが関の山だ。となると……)
学秀はフッと笑みを浮かべてポケットからスマホを取り出し、メッセージを打ち込んだ――。
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