05


「もういちいちツッコむのも面倒だが……どうして赤羽まで来てるんだ! 僕が呼んだのは紗良だけだ!」

紗良とカルマと学秀は、駅近くの喫茶店へとやってきていた。
以前、3人でテスト勉強をした喫茶店だ。

「まぁいーじゃん。俺も久しぶりに浅野クンと話したかったし?」

「僕は君と話すことは何もない!」

相変わらずな2人のやり取りに紗良は苦笑いを浮かべる。

「が、学秀君。それで、私に聞きたい事って……?」

紗良は学秀から「聞きたい事がある」という連絡を受けてここへ来た。
学秀はもうカルマが同席することについては諦めたようで、ゴホンと咳払いをして紗良へと向き直る。

「……聞きたい事というのは、君の担任についてだ」

「!!」

そういえば以前にも、学秀に殺せんせーの事について問い詰められそうになったのを思い出す。

「最近、うちの学校の周辺で不審者の噂が出ている。空飛ぶ黄色い巨大タコを見た……とかね」

完全に殺せんせーのことだ。紗良はギクリと肩を揺らす。

「君の担任に関係のあることなんじゃないかと思ってるんだけど」

「え、えーっと……」

紗良は助けを求めるようにカルマに視線を送る。

「……浅野クン、そんなどうでもいい話は置いといてさ、」

「赤羽。君は黙っていろ」

「浅野クンにとって、もっと重要な話があるんだけど」

「……重要な話?」

重要な話、と聞いて学秀は首を傾げる。

「うん。……あー、でも知らないほうが幸せってこともあるかもね」

「何だ。勿体ぶらずに言え」

「聞きたい? じゃあ教えてあげるよ」

笑みを浮かべるカルマに学秀は眉間にシワを寄せる。

「……俺と紗良、付き合う事になったから」

「……………………」

学秀たっぷりの沈黙のあと「は!?」と目を見開く。

「い、今のは赤羽の冗談だよね? 紗良」

「冗談じゃないよ。本当だよ」

「なっ……」

少し恥ずかしそうにはにかむ紗良を見て、学秀は信じられないという顔をする。

「ごめんね、浅野クン。紗良は俺がもらっちゃった♪」

「…………」

「あの……学秀君、大丈夫?」

「…………」

「……どうしようカルマ君。学秀君が固まっちゃった……」

「んー。しょうがないから、置いて帰ろっか」

「え!?」

「またあの話について聞かれたら面倒でしょ」

「それは、そうだけど……」

確かに殺せんせーについてこれ以上聞かれると困る。
そういう訳で、学秀は置いて帰ることにした。

「ご、ごめんね学秀君。先帰るね」

「じゃあまたね〜浅野君。お金はここに置いとくから」

そして、固まったままの学秀を放置して、紗良とカルマは喫茶店を後にしたのだった。

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