04


学校の裏山で鍛えたクライミング技術で崖を登りきり、ホテルのロビーへの侵入に成功した。
警備が多かったが、イリーナのピアノ演奏で警備員達をひきつけている間に上の階へと進んだ。
ホテル内に居た他の客はトラブルを避ける為か、視線を合わせることもなかった。

「へっ、楽勝じゃねーか。時間ねーんだからさっさと進もうぜ」

「寺坂君!!そいつ危ない!!」

その時、前から歩いてきた人物がすれ違いざまにガスのようなものを噴射した。

とっさに烏間が寺坂達をかばい、正面からガスを受けてしまった。
烏間はがくりと膝をつく。

「毒物使い……ですか。しかも実用性に優れている」

「俺特製の室内用麻酔ガスだ。一瞬吸えば象すらオトすし、外気に触れればすぐ分解して証拠も残らん」

「ウィルスの開発者もあなたですね」

「さぁね。ただ、お前たちに取引の意思が無いことはよく分かった。交渉決裂、ボスに報告するとするか」

皆は近くにあった家具を手に持ち、すぐに退路を塞いだ。

「おまえは……我々を見た瞬間に攻撃せずに報告に帰るべきだったな」

烏間はふらつきながら立ち上がる。

「フン、まだ喋れるとは驚きだ。だが所詮はガキの集まり。オマエが死ねば統制がとれずに逃げ出すだろうさ」

毒物使いの男は烏間に攻撃をしかけようとしたが、一撃で烏間の蹴りによって倒された。
それと同時に、烏間もその場に倒れる。

「烏間先生!!!」


***

「これ以上は無理ですよ、烏間先生」

「30分で、回復させる……。決して無茶はするな」

磯貝が烏間の肩を支えながら歩く。

殺せんせーは動けないし、烏間にももう頼ることは出来ない。
だが、敵はこの先にも待ち構えているはずだ。

自分たちだけで、勝てるのだろうか。
もし、失敗して薬を手に入れられなかったら、ウイルスに感染した皆はどうなってしまうのか。
どんどん不安な気持ちになりう俯きながら進む紗良の頭にぽんっと手が乗せられた。
顔を上げると、普段どおりの笑みを浮かべているカルマがいた。

「カルマ君……」

「そんな心配そうな顔しなくても大丈夫だって」

「……うん」

こんな状況なのに、いつもと変わらない様子のカルマを見て、紗良は少し不安な気持ちが和らいだ気がした。

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