06


「柔い。もっといい武器を探すべきだぬ」

カルマが武器に使用していた観葉植物の木はあっというまに握りつぶされてしまった。
しかし、カルマは器用に相手の攻撃を躱し、うまく捌いている。

「……どうしたぬ? 攻撃しなくては永遠にここを抜けられぬぞ」

「どうかな〜〜。あんたを引きつけるだけ引きつけといて、そのスキに皆がちょっとずつ抜けるってのもアリかと思って」

「……」

「安心しなよ。そんなコスいことは無しだ。今度は俺から行くからさ。あんたに合わせて正々堂々、素手のタイマンで決着付けるよ」

「良い顔だぬ、少年戦士よ。おまえとならやれそうぬ。暗殺稼業では味わえぬフェアな戦いが」

一瞬、カルマが優勢かのように見えた。
しかし、背を向けた相手に攻撃をしかけようとした瞬間、ガスを噴射されてカルマは倒れてしまった。

「カルマ君っ!!」

「一丁あがりぬ。長期戦は好まぬ。スモッグの麻酔ガスを試してみることにしたぬ」

頭を掴まれ動かないカルマを見て、紗良は一気に血の気が引くのを感じた。
助けたいけれど、カルマが敵わない相手に紗良が敵うわけもなく、ただ立ちすくむ事しか出来ない。

「き、汚え!! そんなモン隠し持っといてどこがフェアだよ!!」

「俺は一度も素手だけとは言ってないぬ。至近距離のガス噴射、予期してなければ絶対に防げぬーー」

その時、カルマの手からガスが噴射された。
そして相手の男はその場にしゃがみ込む。

「奇遇だね。2人とも同じこと考えてた」

カルマは不敵な笑みを浮かべ、男を見下ろした。

「ぬぬぬううう!!!」

男はナイフでカルマに切りつけようとするが、ガスで麻痺している為簡単にカルマに抑え込まれてしまった。

「ほら寺坂早く早く! ガムテと人数使わないとこんな化けモン勝てないって」

カルマは最初から素手でタイマンすつもりはなかったらしい。
そして男はガムテでぐるぐる巻に拘束された。



***


拘束されたおじさんぬ鼻の穴にわさびとからしをねじこんで楽しそうにしているカルマを皆が呆れたように眺めている中、紗良が泣き始めた。

「……ひっく……うぅ……」

「待って、なんで紗良泣いてるの……?」

カルマが慌てて紗良の方へと駆け寄ってくる。

「っ、だってカルマくん、ほんとに殺されちゃうかと思っ……ひっく……怖かった……」

「あー…ごめん。死んでないし、怪我もしてないから。大丈夫だから。泣くなって……」

泣いている紗良を困ったようによしよしと慰めるカルマを見て寺坂が煽るように言う。

「さっきまでからしとわさびを人の鼻につっこんで楽しんでた奴とはまるで別人だな」

「……後で寺坂の口にもブートジョロキアぶちこんであげよーか?」

「ふざけんな! ほら行くぞ、もたもたしてっと見つかっちまう」

「図体でかいからね」

「うるせぇ!」

そうして、E組の皆はさらに奥のフロアへと歩みを進めていった。


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