08


「じゃあ、ぼ……私達、行くね!」

「お、おい。もうかよ……!!」

「ごめんね、ジュース奢ってくれてありがとう」

紗良と渚が皆と合流すると、ユウジも後を追ってきた。

「おい待てって、彼女ら! 俺の十八番のダンス見せてやるよ!」

ユウジはそう言うと、あまり上手とは言えないダンスをその場で踊り始めた。

ユウジが腕を上げてポーズを決めた時、明らかにガラの悪そうな男のグラスに手がぶつかり、ビールが零れて服に付く。

「こらガキいい度胸だ。ちっと来い」

「あ、いや、今のはわざとじゃ」

「百万する上着だぞ! 弁償しろや!!」

矢田が岡野に目配せすると、岡野が男のアゴに蹴りを入れた。

「すいませ〜ん店の人、あの人急に倒れたみたいで。運び出して看てあげてよ」

「はいはい、全く、ドラッグのキメ過ぎか?」

矢田がうまく階段前の警備を誘い出し、待機していた男子達を階段へと誘導した。

ユウジは尻もちをついたまま、その様子を呆然と眺める。

「女子の方があっさりカッコいい事しちゃっても、それでもめげずにカッコつけなきゃいけないから……つらいよね、男子は」

「渚ちゃん……」

「でも、ダンス踊れるのって、お酒とかドラッグよりカッコいいと思うよ」

「紗良ちゃん……」

「じゃあ、またね!」

紗良は笑顔でユウジに手を振り、皆の後を追いかけた。



***



「危険な場所へ潜入させてしまいましたね。危ない目に遭いませんでしたか?」

「んーん。ちっとも!!」

女子達は笑顔でそう答えた。

「はぁ……」

「どうしたの渚?」

「結局今回女子が全部やってくれたし、僕がこんなカッコした意味って……」

「面白いからに決まってんじゃん」

「撮らないでよカルマ君!!」

「ところでさあ……紗良。さっきのヤツ、誰?」

「え?」

「ラウンジ出る時、誰かに手振ってたじゃん」

「あぁ、えっと……ユウジくん?」

「……。何、 浮気?」

「えっ! 違うよ! ちょっとお話してただけだよ。ね、渚君」

カルマは渚に視線を向ける。

「しつこく話しかけてくる子が居たから相手してただけだよ」

「ふ〜ん……」

「そんなに紗良ちゃんの事が心配なら、カルマ君も女装して一緒に来ればよかったのに」

「絶対やだ」

「人には女装させるくせに……」

「ほらほら、次の階行くよ〜」

カルマは渚の恨み言を軽く流し、紗良の手を取り次の階へと向かっていった。

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