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そうして8階のコンサートホールに到着し、E組の皆は座席の後ろに身を潜めた。
銃を持った男がステージの上に歩いてくる。
「……15。いや16匹か? 呼吸も若い。ほとんどが十代半ば。驚いたな、動ける全員で乗り込んできたのか」
男は背後に置いてあった照明を銃で撃ち抜いた。
「言っとくがこのホールは完全防音だ。おまえら全員撃ち殺すまでだれも助けに来ねぇって事だ」
男の言葉に、紗良はゴクリと息を飲む。男の言うように、下手したら全員撃ち殺されてしまうかもしれない。だけど、ウイルスで苦しんでいるクラスメイトを助ける為にはここで逃げるわけにはいかない。
「おまえら人殺しの準備なんてしてねーだろ!! 大人しく降伏してボスに頭下げとけや!!」
その時、速水が男の銃を狙って発砲した。が、惜しくも狙いを外してしまった。
男は一瞬驚いた表情を浮かべたが、ニヤリと笑みを浮かべ、ステージの照明のスイッチをオンにした。
「意外と美味ぇ仕事じゃねェか!!」
照明の光で眩しくなり、ステージが見えづらくなる。
男は座席の隙間をぬって速水の頭すれすれを銃で撃った。
「一度発砲した敵の位置は絶対忘れねぇ、もうお前はここから絶対動かさねぇぜ」
男は手慣れたように銃を手でくるくると回しながら話す。
「俺は軍人上がりだ。中坊ごときに遅れを取るかよ。……さぁて、お前らが奪った銃はもう一丁あるはずだが」
その時、殺せんせーからの指示が聞こえてきた。
「速水さんはそのまま待機!! 今撃たなかったのは賢明です、千葉君! 君はまだ位置を知られていない。先生が敵を見ながら指揮するので……ここぞという時まで待つんです!!」
「どこから喋って……」
男が周りを見渡すと、一番前の席に殺せんせーはいた。
「テメー何かぶりつきでみてやがんだ!!」
男は殺せんせーに向けて銃を連射するも、すべて弾き返されていた。
「ヌルフフフフ。熟練の銃手に中学生が挑むんです。これくらいの視覚ハンデはいいでしょう」
「……チッ。その状態でどう指揮を執るつもりだ」
「では木村君、5列左へダッシュ!! 寺坂君と吉田君はそれぞれ左右に3列!!」
殺せんせーは生徒たちをシャッフルし始めた。
しかし、指示をするほどに敵も生徒たちの名前と位置をしだいに把握し始めていた。
そのことに気づいた殺せんせーは生徒の呼び方を変えた。
「出席番号12番!! 右に1つで準備しつつそのまま待機!! ポニーテールは左前列へ前進!!」
これには敵も混乱させられているようだ。
「最近竹林君イチオシのメイド喫茶に興味本位で行ったらちょっとハマりそうで怖かった人!! 錯乱のため大きな音を立てる!!」
「うるせー!! 何で行ったの知ってんだテメー!!」
殺せんせーの的確な指示により、着実に距離を詰めることができている。
「さて、いよいよ狙撃です千葉くん。次の先生の指示の後……君のタイミングで撃ちなさい」
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