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ヘリポートで対峙する渚と鷹岡の2人。
渚の足元にはナイフが置かれている。

「足元のナイフで俺のやりたい事は分かるな? この前のリターンマッチだ」

「……待って下さい鷹岡先生。闘いに来たわけじゃないんです」

「だろうなァ。この前みたいな卑怯な手はもう通じねぇ。一瞬で俺にやられるのは目に見えてる。だがな、一瞬で終わっちゃ俺としても気が晴れねぇ。だから闘う前にやる事やってもらわなくっちゃな」

鷹岡は渚に土下座をするように命令した。渚は素直にそれに従う。

「ガキのくせに生徒のくせに先生に生意気な口を叩いてしまい、すみませんでした。本当にごめんなさい」

「……やっと本心を言ってくれたな。父ちゃんはうれしいぞ」

鷹岡はニコリと笑みを浮かべると、スーツケースを手に取った。

「褒美にいい事を教えてやろう。あのウイルスで死んだやつがどうなるか……。笑えるぜ、全身デキモノだらけ、顔面がブドウみたいに腫れ上がってな。見たいだろ? 渚君」

鷹岡はスーツケースを上に放り投げると、起爆スイッチに手をかける。

「やめろーーーーーーッ!!」

ドン!!という大きな音とともに、治療薬の入ったスーツケースが爆発した。
鷹岡は「ははははは!」と心底楽しそうに笑っている。

「そう!! その顔が見たかった!! 夏休みの観察日記にしたらどうだ? お友達の顔面がブドウみたいに化けていく様をよ!」

その時、渚がふらりと立ち上がった。

「……殺…してやる………」

手にはしっかりとナイフが握られている。

「ははははは! その意気だ!! 殺しに来なさい渚君!!」

渚は完全にキレてしまっていて、本気で鷹岡を殺す気に見えた。
その時、寺坂がスタンガンを渚の目掛けて投げつけた。

「渚!! そんなクズでも息の根止めりゃ殺人罪だ! テメーはキレるに任せて百億のチャンス手放すのか?」

「寺坂くんの言う通りです、渚君。その男を殺しても何の価値も無いし逆上しても不利になるだけです」

寺坂と殺せんせーの言葉を聞いた渚は、それでもナイフは捨てずに、スタンガンを拾いベルトの隙間に差し込んだ。
その様子を見た鷹岡はニヤリと笑みを浮かべる。

「ナイフ使う気満々だな。安心したぜ。スタンガンはお友達に義理立てして拾ってやったというとこか」

鷹岡の手には3本の治療薬が握られていた。

「ここに3回分ほど薬の予備がある。渚君が本気で殺しに来なかったり下の奴らが俺の邪魔をしようものなら、こいつも破壊する」

これで他の皆は手出しを出来なくなってしまった。
渚はナイフで鷹岡に斬りかかろうとするも当たることはなく、ただただ鷹岡に殴られる一方だった。

「さぁて、そろそろ俺もこいつを使うか」

鷹岡はナイフを手に持つと、それをクルクルと回しながら渚に近づく。

「手足切り落として標本にしてやる。ずっと手元に置いて愛でてやるよ」

「渚君……っ!」

紗良は渚の名前を呼ぶも、どうすることも出来ず目に涙を浮かべる。

「烏間先生! もう撃ってください!! 渚死んじゃうよあんなの!!」

カエデが烏間に訴えるも、寺坂がそれを止めた。

「待て、手出しすんじゃねー」

「まだ放っとけって寺坂? そろそろ俺も参戦したいんだけど」

「カルマ、テメーは練習サボってばっかて知らねーだろうがよ。渚のやつ、まだ何か隠し玉持ってるようだぜ」

そういえば、夏休みの訓練で渚がロヴロ先生に何かを教えてもらっていた事を紗良は思い出した。

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