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渚は立ち上がると、鷹岡を真っ直ぐ見据えて笑顔で歩き出した。
只ならぬ渚の様子に、鷹岡も動揺しているようだ。
「クッ……クソガキィ……!!」
鷹岡の意識が渚の持つナイフに集中しているタイミングで、渚はナイフを空中に置くように捨てた。
そして顔の前でパァンと思い切り手を叩いた。
衝撃で鷹岡は仰け反り、その一瞬の隙を突いて渚は鷹岡にスタンガンを浴びせた。
鷹岡はその場に膝をつくように崩れ落ちた。
「……」
皆はその様子を驚いた表情で眺めている。
「……とどめ刺せ、渚。首あたりにたっぷり流しゃ気絶する」
鷹岡は首元にスタンガンを突きつけられ、苦しそうに息をしながら怯えた表情で渚を見ている。
渚は、笑顔を浮かべて鷹岡にこう言った。
「鷹岡先生、ありがとうございました」
バチッというスタンガンの音と共に、鷹岡はその場に倒れて動かなくなった。
「よっしゃあああ!! ボス撃破!!」
「やったああ!!」
無事に鷹岡を倒すことが出来、E組の皆は歓喜の声を上げた。
その後、拘束していた筈の殺し屋達が屋上へとやってきたが、もう戦う気はないようだった。
結局、ウイルスは致死性のものではなく時間経過で無毒になるものだったらしく、薬も必要ないらしい。
アフターケアも万全で、栄養剤まで渡してくれた。
「……信用するかは生徒たちが回復したのを見てからだ。事情も聞くし、しばらく拘束させてもらうぞ」
「まぁしゃーねーな。来週は次の仕事が入ってるからそれ以内にな」
「なーんだ、リベンジマッチやらないんだ? おじさんぬ、俺の事殺したいほど恨んでないの?」
「俺は私怨で人を殺したことは無いぬ。誰かがお前を殺す依頼をよこす日を待つぬ。だから狙われるぐらいの人物になるぬ」
おじさんぬはそう告げると、カルマの頭を優しくポンと撫で、ヘリコプターに乗り込んでいった。
煽ったのに予想外の反応が返ってきて、カルマは少し気まずそうに自分の頭を抑える。
その様子を紗良はニコニコと眺めていると、カルマに軽くデコピンをされた。
「何見てんの」
「カルマ君が頭撫でられるの珍しいなと思って」
「……紗良の頭は低いところにあって撫でやすいね〜」
と言いながらカルマは紗良の頭を手で押さえつけて下を向かせるようにしてぐしゃぐしゃと撫でた。
「ガキ共!! 本気で殺しに来てほしかったら偉くなれ!! そん時ゃ、プロの殺し屋のフルコースを教えてやるよ」
殺し屋達は、ヘリコプターに乗って去っていった。彼らなりのエールを残して。
こうして、大規模潜入ミッションは無事にコンプリートした。
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