05


カルマが自販機でいつもの煮オレを買い教室へ戻ろうとした時、廊下の向こうから歩いてくる紗良の姿をを見つけた。
紗良はカルマには気づいていないようだ。

カルマは紗良に話しかけようと思ったが、ある事を思いつき自販機の後ろに身を隠した。
そして紗良が通り過ぎたのを見計らい、背後からそっと近づき……。

紗良の首筋に、冷たいいちご煮オレをピタッとくっつけた。

「ひぁあっ!??」

素っ頓狂な声を出した紗良は手に持っていた本とノートをバラバラと床に落とし、バッと後ろを振り向いた。

「……あ、赤羽君!?」

目を丸くして驚いた表情を浮かべる紗良を見て、カルマは笑う。

「あっははは。良い反応するよねぇ〜」

「ーーーーーっ!」

驚きと恥ずかしさで、紗良は赤面したまま固まってしまった。

「ごめんごめん、ちょっと驚かせてみたくて」

カルマは大して悪びれる様子もなくそう言いながら、床に落ちた本とノートを片手で拾い上げ、紗良に手渡した。

「はい」

「あ、ありがとう……」

本とノート落としたのはカルマの所為だが、拾ってくれたので一応お礼を言っておいた。

「いーえ。……昨日振りだね、紗良ちゃん」

カルマは人の良さそうな笑みを浮かべる。

「そ、そうだね……」

紗良は今朝渚から『カルマ君は根は良い人』だと聞いていたが、昨日のことを思い出すとやっぱり少し怖かった。

「そんな物もって、こんな所で何してんの?」

カルマは紗良の手の中にある数学の本とノートを見て問いかけた。

「あ、えっと……分からない問題があって先生に質問しに行こうと思ったんだけど、職員室に先生居なくて……。だから、もう教室に帰るところだよ」

「へー。勉強熱心だね」

「そ、そんなこと無いよ。私数学が苦手で、聞かないと分からないから……」

「ふーん。……あ、じゃあさ」

何かを思いついたかのように、カルマはニコリと笑う。

「まだ昼休み時間あるよね。俺が教えてあげよっか。数学」

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