03
「紗良」
不意に自分の名前を呼ばれハッとして顔を上げるとそこにはカルマの姿があった。
ちょうど今登校してきたようだ。
「おはよ。何してんの? うちの教室の前で」
「カルマ、君……」
紗良は消え入るような声でカルマの名前をつぶやいた。
いつもと違う紗良の様子に、カルマは小首を傾けて「何かあった?」と問いかけた。
「……渚君、が」
紗良が言い終わるより早く、教室内から声が飛んできた。
「よーカルマ! 渚の奴、E組行きになったらしいぜ〜。ダッセーよなーぎゃははは!!」
渚がE組と聞いて、カルマは一瞬目を見開く。
そしてすぐに冷静な表情に戻ると、笑っている生徒の方へつかつかと歩いて行き、そこにあった机を思い切り蹴飛ばした。
ガシャン!と大きな音がして、騒々しかった教室が一気に静まり返る。
「……今度渚君の悪口言ったら、タダじゃおかないから」
カルマはクラス全員に向けて、そう冷たく言い放った。
「お、お前っ! E組の奴の肩持つのかよ!」
カルマの事が気に食わない生徒が食って掛かったが、軽く睨みつけられるとすぐに押し黙った。
カルマは自分の机に鞄を投げ捨てるようにして置くと、教室を出て紗良の元へと戻ってきた。
「行こう」
カルマはそう言うと、相変わらず立ち尽くして動けずにいる紗良の手をそっととり、歩き出した。
紗良はその手をギュッと握り返し、カルマに引かれるままについていった。
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