05


校舎内を探しても渚の姿は見当たらず、紗良とカルマの二人は校舎の外に出た。

「外、寒いね……」

「だねー。……あ、あれ渚君じゃね?」

カルマの視線の先に目をやると、中庭のベンチに座っている渚の後ろ姿が目に入った。
2つに結われた水色の髪が、冷たい風に吹かれて静かに揺れている。
その姿はどこか悲しげで、紗良は先ほどの渚とのやり取りを思い出して胸がチクリと痛んだ。
カルマはそんな紗良の背中をトンと軽く叩いた。

「ほら、行っといで。俺はここで待ってるから」

「……うん。私、渚君とちゃんと話してくるね」

紗良は渚の方へと駆け寄ると、名前を呼んだ。

「渚君!!」

渚は驚いたように後ろを振り向いた。

「紗良ちゃん!? どうしてここに……今授業中じゃ……?」

渚はベンチから立ち上がると紗良の前に立った。

「渚君と話がしたくて、探しに来たの」

渚へ真剣な目を向けると、渚もまっすぐ見つめ返してきた。

「話、って……?」

「……渚君、さっきはごめんなさい。教室で色々酷いこと言われてたのに、私はただ見てるだけしか出来なくて、それから何も声をかけてあげられなくて、本当にごめんね」

「そんな事……全然大丈夫だよ。紗良ちゃんは何も悪くないんだから謝る必要なんて……」

「ううん。どうしても会って謝りたかったの。それから、もう一つ、大事なことを伝えたくて……」

「大事なこと?」

「私……私ね、ずっと渚君と友達で居たい。渚君は私に"もう関わらないで"って言ったけど、そんなの嫌だよ。私はこれからもずっと、渚君と仲良しでいたい」

「紗良ちゃん……。そんな風に思ってくれて、すごく嬉しい。だけど……E組の僕なんかと仲良くしてたら、紗良ちゃんまで何言われるか……」

「他の人に何言われたっていいよ。それよりも、渚君と友達でいられなくなる事のほうがずっと辛いの。だからお願い、"もう関わらないで"なんて悲しいこと言わないで……」

紗良は自分の思っていることを渚に伝えた。
渚にもそれが伝わったようで、ふっと表情が柔らかくなる。

「……ありがとう、紗良ちゃん。それからごめんね、逆に紗良ちゃんに辛い思いをさせちゃってた。僕も、紗良ちゃんとずっと友達でいたい。これからも、仲良くしてくれる……?」

「うん、もちろん……!」

紗良は嬉しくて、渚の手を両手でぎゅっと握った。

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