04


カルマが向かった先は、A組の教室だった。
カルマが教室へ足を踏み入れると、教室内が少しざわついた。
そんな事を気にする様子もなく、カルマはある人物の元へと迷いなく歩いて行く。

カルマは学秀が座っている座席の前で立ち止まった。
学秀は怪訝そうな目でカルマを見る。

「……何しに来たんだ、赤羽。君のクラスはここじゃないはずだが」

「浅野クン、頼みがあるんだけど」

「頼み? 珍しいこともあるものだね。けど君の頼みを聞く筋合いはな――」

「紗良の事だよ」

紗良、という名前に学秀はピクリと反応する。

「…………。一旦出ようか。注目されてしまっているようだしね」

2人はA組の教室を出て、使われていない空き教室へと向かった。

「それで、紗良の事で頼みというのは?」

「……その様子だと、まだ知らないみたいだね」

「? 何のことだ」

「俺と紗良は、E組行きになった」

「なっ……!? それはどういうことだ! 赤羽!」

カルマは事の経緯を学秀に説明した。
話を聞いた学秀は小さくため息を漏らす。

「……なるほど。つまり紗良は濡れ衣を着せられたという訳だね」

「そーゆーこと。で、ここからが本題。紗良のE組行きを取り消して貰うように、先生を説得しに行ってくんない?」

「頼みというのはその事か」

「先生から信頼の厚いあんたが適任だと思ってね」

カルマは少し自嘲気味にそう言った。

「いいだろう。ならば、理事長に直談判しに行く。その方が話が早い。最終決定権があるのはあの人だ」

「さすが、理事長の息子だね。頼んだよ浅野クン」

「言っておくが、君に頼まれたからやる訳じゃない。紗良の為だ」

「分かってるよ。っていうか、俺のこと責めないんだ?」

カルマは、紗良が自分のせいでE組行きを宣告されてしまったことに対して学秀は怒るだろうと予想していた。
しかし、学秀にカルマを責める様子は無かった。

「珍しく君がへこんでいるように見えるからね。それに、君がE組に行って紗良と離れてくれれば、僕としては嬉しい限りだよ」

「……あっそ」

「絶対に、紗良をE組になど行かせはしない」

学秀は自分自身に言い聞かせるようにそう言った。

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