第6話
ある日の深夜、ナマエは散歩をしに外へ出ていた。
日中は誰にも合わないように部屋からなるべく出ないようにしているが、少し体を動かしたくて、時々夜の散歩に出かけている。
夜は空気が澄んでいてとても気持ち良い。
ナマエはこの時間が好きだった。
静かな夜に星空を眺めながらゆっくり歩いていると、心が安らぐような感じがした。
しばらく外を歩いた後ハウスに戻ると、廊下の奥から女の子の泣き声が聞こえてきた。
「うえぇぇぇん、痛いよぉ……」
真っ暗な廊下に座り込んでしくしく泣いている女の子がいる。4〜5歳ぐらいの子だろうか。
さすがに小さな子を放おって置くことはできず、話しかける。
「どうしたの? 大丈夫?」
「足が痛いの……ひっく」
トイレに行って部屋に戻ろうとした途中で躓いて転んでしまったらしい。
ナマエはとりあえず廊下の明かりをつけて、彼女を抱き上げると近くの階段の段差に座らせた。
少し足首が赤い。捻ってしまっているようだ。
ちょっと待っててね、と伝えて、ナマエは皆が寝ている寝室へと向かった。
他の子供達を起こさないように、レイのベッドを探す。
「レイ、レイ。起きて」
小声で名前を呼びながら、レイの肩を叩く。
「……ナマエ? どうした?」
「どうしよう。女の子が転んで泣いてるの。足を捻っちゃったみたいで……」
ナマエはレイを連れて女の子の元へ戻った。
「ジェミマか。大丈夫か?」
レイはしゃがみこんで泣いている彼女の足元を確認する。
「捻挫してるっぽいな」
「私、冷やすもの持ってくる」
腫れている足首を冷やして、医務室からとってきたテーピングで固定した。
応急処置が終わる頃にはジェミマも泣き止んでいた。
レイはジェミマの頭をポンポンと撫でる。
「大丈夫だ、ジェミマ。安静にしてればすぐ治る」
「うん……ありがとう、レイ」
「ナマエも、サンキューな」
レイはジェミマにしたようにナマエの頭に手を置いてポンポンと撫でた。
子ども扱いされているようで恥ずかしくなり、思わず手から逃げるように後ずさる。
「わ、私は何も……」
「ナマエ、ありがとう!」
ジェミマに笑顔でそう言われて、心がじんわりと暖かくなるのを感じた。
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