04. やめてあげなさいよ

奇妙な三世代で食卓を囲む。相変わらず行儀のいい長男、ムードメーカーな長女、マイペースな末っ子。しかし以前食卓を囲んだときと変わらないようでいて、一人加わるだけでだいぶ雰囲気は変わっていた。

「そうか。上手くやってるな、サツキ。」

普段一歩下がったところのある少年が嬉しそうに任務での活躍を話す。いつも聞き役に回ってるのかと思っていたけど子供らしい所もあるようで安心する。言葉少なに師匠兼父親に褒められて頬を緩ませていた。

「兄さん頑張ってるから、イチカのニンジン、特別にあげるね。」
「お前、まだそんなことやってんのかよ。下忍になったんじゃなかったのか。」
「兄さん喜んでくれるから。」

ニコリと微笑む少女を見て溜息を吐いた向かい側の男は長男の方を見て、あんまり甘やかすなよ、と困ったように言う。斜め前の少女からちゃっかりニンジンを渡されながら、あぁ、分かってる、と呟く姿は驚くほど父親似だった。微笑ましい光景を見ていると、ふと視線を感じていた方から話しかけられた。

「カカシさん、サスケさんの先生だったって本当?」
「ん。昔の話だけどね。」
「本当だったんだ!シノ先生が言ってた。」
「あいつね。サスケと同期だったっけ?」
「あぁ。俺んとことナルトんとこの担任だとよ。」
「そ。着々と次世代に引き継ぎって感じだね。あいつらとはもう会ったの?」
「ナルトには一応。」

火影だから帰還報告に行ったんだろう。短い言葉とは裏腹に仲間を思ったのか表情が緩められた。そして思い出したように末っ子くんに話しかける。

「そういやオリテもサラダと同じクラスか。」
「うん。だからサラダのことは俺が守るから、心配しないで旅に出て。お父さん。」

お茶を吹き出した教え子と食べ物を喉に詰まらせたのか盛大に噎せる母に思わず笑う。頭にハテナを浮かべた様子の末っ子の頭をそっと撫でてやる。

「母さん、大丈夫?お茶飲める?」
「ありがと、サツキ。」
「サスケくん、汚い!サイテー!」
「、悪かったな。お前の弟が変なこと言ってきやがったんだよ。」

名前が席を立って机の上を片し、やっと落ち着いたらしいサスケが少年に向き直る。

「気持ちは嬉しいが、そういうのは、大人になってから言え。待っててやるから。」
「?うん。」

分かったのか分かってないのか素直に頷いて食事を始めた姿を微笑ましく思う。世間的には許された行動ではないけど、きちんと二つの家庭を大切にしているらしい様子にそっと安堵した。

「オリテ、ちゃんとサスケくんにお礼言った?この前サラダちゃんとお泊まりだったでしょ?」
「あ、まだ。」

意地悪く笑って弟を嗾ける少女の言葉にサスケが目を見開く。

「は?お泊まりってなんだよ。」
「ほら、ここ何回かこの子達と会えなかった時。私言わなかったっけ?」
「いや、言ってたけど、こんな感じだと思わねーだろ。」

名前が助けに入るも余計に焦りを煽ったようであたふたしている。娘を他の男に取られるのはさすがに嫌らしい。

「立派に父親だね。」
「サスケくん何ムキになってるの?イチカがカザトくんとデートしてるの見ても何も言わなかった癖に。もう耐性はできてんのかと思った。」
「は?いつだよ。ってか誰だ、カザトって。」
「イチカ、それは母さんも初耳かな。」

ここに連れて来いと言わんばかりの形相のサスケに、知らなかった事に軽くショックを受けた様子の名前。こいつら家族は賑やかでなくなる事はないんだろうなと思わされる。

「兄さんの元同期。」

ジロリと大人二人が長男を見る。やめてあげなさいよ。

「あ、あー、カザトか。昔アカデミーで一緒になった事あったな。結構面食いだな、イチカ。」
「いいもん、顔だけは格好いいもん。あとイチカの言う事なんでも聞いてくれる。」

少し顔を赤らめる少女の言う理想像が立派に父親と一致していて苦笑する。

「ね、待って、デートって付き合ってるの?ちょっと早くない?」
「母さんには言ってない。」
「は?お前、本当に付き合ってんのかよ?連れて来い、話つけてやる。」

話つけるってお前ね、と内心呆れて教え子の方を見るも至極真面目に心配していて、この子のこともちゃんと娘みたいに思ってるんだな、としょうがない気もしてくる。言われた少女はそれはもう嬉しそうにサスケの方を見ていて、サラダに嫉妬しただけかなと思わされる。

「今度ちゃんと修行つけてくれるなら連れてく。」
「その言葉、覚えてろよ。」
「ほーんと、賑やかな家族だよね。」

いつかも言った言葉が簡単に溶けていく程、賑やかに言葉が飛び交っていた。