13. 母さん不在

「母さん、眠っちゃったねー。早すぎない?」

強がるイチカの頭を撫でてやるとそっと抱きついてきた。

「イチカ、オリテ、アカデミーの時間だろ?遅刻するぞ。」

そう言うと2人は慌てて自室に入りカバンを引っ掴む。いってきまーす、と玄関から2人の声が響いて、気をつけろよ、と声を掛ける。母さんが眠る部屋に戻ると、サスケさんが優しい顔で母さんの頭を撫でて、変わんねーな、って綺麗に笑ってた。2人の間に過去に何があったかなんてわかりっこないけど、俺にとっては2人が両親だ。この光景がずっと続けばいいのに、と密かに願った。

「演習場向かうか。」

その言葉に頷き演習場へ向かった。いつも通り極限ギリギリまで修行をして帰ると、オリテとイチカが玄関の前で座り込んでいるのが目に入った。

「どうした」

駆け寄ると2人は顔を上げる。サスケさんが2人を抱き上げる。

「いつもは母さんが出迎えてくれるから、」

オリテが涙ぐむ。シンとした家が嫌で2人して外で待ってたんだろう。サスケさんは困った顔をして、甘やかしすぎだろあいつ、と笑う。晩飯はどうするのかと心配していると、すでに母さんが作り置きをして置いてくれたらしい。冷蔵庫いっぱいにタッパーが詰め込まれていた。サスケさんは母さんが机の上に置いていた紙を見ながら今日の分を用意してくれる。

「手伝います。」

そう言うと、温め終わったもん皿に盛り付けてくれ、と言われた。いつのまに炊いたのかご飯も出来上がっている。

「オリテ、手洗いに行こう」

イチカがオリテの手を引いて洗面所に向かう。自分にとっては2人ともまだまだ子供だが、それでも少しずつ成長しているようだ。そのままご飯を食べて順番に風呂に入り、ベッドに向かう。

「サスケさんはどうすんの?」

ふと不思議に思って聞くと、気にせず寝ろ明日も修行行くだろ、と言われた。おやすみなさい、と言って部屋に向かう。奇妙な1週間の幕開けだ。