15. 拗れる

「お邪魔しまーす。」

明るい声が響いてサクラが入ってくる。意外と人見知りするのか、イチカ、オリテが俺の足にしがみつく。

「はじめまして。あなたたちが苗字さんのお子さんたちね。私サクラっていうの。よろしくね。」

サラダの手を引いて登場したサクラは愛想のいい笑顔で3人に挨拶した。愛想よく挨拶するイチカとオリテとは一変、サツキの顔が歪む。

「サツキ、」

声をかけるとハッとしてサクラに会釈する。

「サスケさんに修行をつけて貰ってます、サツキと申します。お世話になっております。」
「こちらこそ。しっかりしてるわね。苗字さんそっくり!」

そう言ってニコニコと笑うサクラに不自然な笑顔を貼り付けてみせるサツキ。そんなとこまであいつに似なくていいんだよ、と心を掴まれたような苦しさを覚える。

「悪いな、サクラ。来て貰って。」
「いいのよ!私でお役に立てることがあればなんでも言って?」

それを聞いたイチカがいいの?と尋ねる。もちろんよー、と笑顔でサクラが返すもなんか嫌な予感がした。

「今すぐ出てって」

ハートが出ていそうなくらい完璧な笑顔でサクラに面と向かって言うイチカ。予想的中だ。こいつは本当に只者ではない。

「イチカ、」
「サスケくんも帰ってくれていいよ。任務お疲れ様。」

そういってプイっと顔を逸らして自室に篭ってしまった。イチカ、とサツキが呼びかけるも反応はない。すみません、と代わりにサツキが謝る。

「そんな、謝らないで。お母さんがいない不安な時に私が不安煽っちゃったみたい。ごめんなさい。」

実際、サクラの言っていることは当たっているようでオリテも俺の足から離れようとしない。

「サクラ、来て貰ったのに悪いが、」
「ううん、私がサスケくんの任務に文句つけたりするから、ごめん。」

静かに玄関から出て行くサクラを送りたいけど、今追いかけたらもう2度とこいつらと会えない気がして出来なかった。

「オリテ、悪い、イチカと話がしたいんだ。離れてくれるか?」

素直に離れたオリテはサツキの元に向かう。

「サスケさん、イチカは口聞かないと思いますよ。だから気にしないで。」

そう言われても後味が悪いままにしておける程自分は淡白ではなかったようで、さんきゅな、とサツキの頭を撫でてイチカの部屋に向かった。

「イチカ、話がしたい。入っていいか?」

サツキの言う通りなんの反応もない。

「イチカ、」

ドアが開いたと思うと、真っ赤に泣き腫らした目で睨まれる。

「イチカ、すまなかった、俺、」
「まだいたの?帰っていいよって言ったのに。」

そう言って部屋から出たイチカはサツキに抱きつき、泣くでもなく喚くでもなく静かに縋っていた。サツキは優しくイチカの頭を撫で、オリテがイチカの背中を優しく撫でていた。俺はそれを見ていることしかできなかった。