「ねー、なんで山奥の家に帰るのー?イチカ、木ノ葉好きだよー?」
「帰るんじゃなくて、泊りに行くの。たまには山奥の自然いっぱいな環境もいいでしょ?プチキャンプ、ね?」
「僕疲れたー。」
相変わらずストレートに気持ちをぶつけてくるイチカとマイペースなオリテを連れて、木ノ葉に戻る前に過ごしていた家を目指す。
「兄さんは来ないのー?」
「サツキは任務が終わったらその足で来るって。現地集合だよ。」
ふーん、と不満そうな2人にまだこの道のりは長かったかな、と苦笑する。
「ほら、見えてきたよ、覚えてる?2人とも。」
そういって見えてきたログハウスを指差す。2人とも首を傾げる。
「あんな感じだったっけ?僕あんまり覚えてない。」
「イチカもー。」
どうやら木ノ葉の暮らしが快適なようで、何より何より、と1人心で呟きながら目的地を目指す。久しぶりについた家の前には懐かしい結界が張ってある。1枚、2枚と結界が入れ子状態になっている。愛されてるな、と再確認して*が緩みながら進むと1つ見慣れない結界が張ってあった。
「もう着いてたんだ。」
そう呟くと、誰がー?と聞いて来るイチカ。すぐわかるよ、といって歩を進める。玄関のドアノブに手を掛けると力を入れていないのに内側からドアが音を立てて開いた。
「久しぶりだな。」
そう響いた低い優しい声は相変わらずで思わず*が緩む。
「え、サスケくん?」
イチカが固まる。オリテも呆然としている。それもそうか。何ヶ月か前に里の門の前でいってらっしゃいしたばかりだ。
「盛大に驚いてんな、イチカ。」
いつもは何かとサスケを困らせる発言をするイチカもさすがに驚きすぎて何も出て来なかったらしい。
「とりあえず中に入りなよ。」
先に着いていたらしいサツキが中で妹と弟を呼ぶ。それに続いて私も中に入る。
「メッセージ、読めたんだ?」
大きな背中に問いかけると、楽しそうに笑う。
「お前ら母さん敵に回すなよ、末恐ろしいやつだぞ、こいつ。」
子供達に投げかけたそれは余計な言葉のオンパレードだったけど肯定の意だろう。最後に木ノ葉病院で診察した時に視力確認と称して、壁にここの地図と日付を貼ってあったのだ。サクラちゃんをぼーっと見つめるように見せて地図を暗記していた、なんて、忍としては完璧だと思う。不意にさっと腰に回された手にこの人チャラくなってないか、とジトりと睨む。
「なんだよ。」
「んーん、随分イケメンを謳歌しているようで。」
意味がわかったのかわからないのか、は?、と言って不機嫌を露わにしたような顔をされる。
「お前こそ、何あの笑顔。カカシ勘違いするぞ。」
どの笑顔?、って言うと可愛くねー、と言われる。サツキが下の子2人と階段を登るのを横目で見て、すぐ近くにあった広い胸に擦り寄る。悪い女だ、私。それを慰めるかのようにすぐ上から小さく甘い声が降って来る。
「会いたかった。」
「うん、私も。」
見上げるともう距離はだいぶ縮まっていて、この綺麗な顔は何回見ても慣れないなと思う。
「こんなに近くなくても、もう見えるんでしょ?」
可愛くない言葉だけど、声が思ったより柔らかかった。漆黒の双眼に射抜かれる。
「フン、まだ寝ぼけてるみたいだな。起こしてやるよ。」
ゆっくり近づいて来る唇に目を閉じた。背伸びして首に両腕を伸ばすと腰あたりをぐっと持ち上げられる。
「ん、サスケ、」
唇が離れて名前を呼ぶと耳元に吐息がかかる。
「名前、会いたかった。」
それはそれは甘い声にふっと力が抜けて、腰に回された手にぐっと力が入るのがわかる。
「腰、抜けてんぞ」
楽しそうに言われて一気に顔に熱が篭る。
「もう何年も母親してたから感覚忘れてたの。手加減して。」
もう真っ赤になっているであろう顔で言うとくすっと笑って耳たぶを優しく噛まれる。
「んん、それだめ。」
「だめってなんだよ。」
意地悪に口角を上げて壁に追いやられる。あぁ、もうどうとでもなれ。
「サスケ、好き。」
首に抱きついて小さくそう言うと、知ってる、と言われた。噛み付くようなキスをされて、舌が入ってきて、脳内まで溶けてしまうんじゃないかと思うようなキスをする。時間の感覚すらわからない。
「俺は愛してるぜ?」
トップスの裾から手を入れてお腹をさっと撫でられる。
「っあ、ね、それはさすがに、」
「サスケくんーーー!」
イチカの大きな声でピタリと動作が止まる。ドスドスと階段を駆け下りる音がして、後ろでサツキが、待って、イチカ、空気読んで、と叫んでいる。私たちは一瞬顔を見合わせてさっと距離を取り、衣服が乱れていないか確認する。
「、何してたの?」
イチカがジト、とサスケを睨むと、いや、別に、と答える。
「子供がいる前で発情しないでよ、サイテー!」
言い放ったイチカに、はつ、と言葉を詰まらせるサスケ。その手を握って強引に2階へと引っ張っていく姿に、イチカに助けられたかな、とおかしくなる。
「ねー、サスケくんってそんなに母さんのこと好きなの?」
遠くから聞こえてきて、サスケの困った顔が浮かんだ。