深紅の眼を光らせる。この眼があると上手く会話をコントロールできる。それが私の特技だった。6歳になった頃、お見合いと称して連れて行かれた火の国の大名邸で5つも6つも上の男の子との顔合わせをさせられた。見合いとは建前ばかりで実質は立派な諜報活動だった。誰も6歳の子供が10歳幾ばくかの子供から重要な情報を引き出せるなどと考えもしない。油断されている分、特技を持ってすれば簡単だった。子供同士遊ぶふりをして、瞳術を使い男の子たちに情報をとってくるようコントロールする。知っている情報を話させるようコントロールする。情報が引き出せれば眠たいふりでもしてその場を後にすればいい。それが私に課された任務だった。
「名前!」
任務帰り、馬子にも衣装、と着させられた着物を着たまま幼馴染と出会う。今は会いたくなかったな、と少し落ち込むこちらの気も知らず、無邪気に駆け寄ってくる男の子。その後ろには長髪の彼より背の高い少年がゆっくりと彼を追いかけている。
「サスケ、修行の帰り?」
服が少し汚れているのを見てそう問うと、嬉しそうに、うん!、と元気に答えた。ゆったりと歩いて追いついた彼のお兄さんが、今帰ったのか、と優しい声を掛けてくれる。頷くと、そうか、と微笑んで頭を撫でられた。任務で何度かお世話になっているけど、敵に向ける鋭い目を向ける姿ではなく、優しく笑うこのイタチさんが好きだった。
「名前、最近よく里外に行ってるよね?何かあるの?」
無邪気に聞いてくる姿になんと答えたら良いものか。戸惑っていると代わりにイタチさんが口を開く。
「うちはの女の子は名前くらいの年からお見合いに行く決まりなんだ。」
「お見合い?」
心配そうに尋ねる幼馴染に、眉を八の字にして、将来の旦那様を探すの、と伝えた。衝撃を受けた、と顔全体で表現するサスケに、やりすぎたかなとイタチさんを見ると同じように眉を八の字にしていた。
「ほら、サスケ、遅くなると母さんが心配するからそろそろ帰るぞ。」
手を引いて歩き出す。名前、気をつけて帰れよ、と一度こちらを向き直って笑顔でそう言われ、元気よく返事をする。だいぶ軽くなった心で家路を急いだ。