02. うちはの生き残り

うちはの悲劇。全忍界史に残るような大事件だった。生き残りは首謀者の弟のみ。木ノ葉の里きっての名門と謳われた、警備部隊も任されるような戦闘力の高い一族がたった1人男の子を残して滅んだ。生き残りの男の子は私の幼馴染、うちはサスケだった。

「サスケ、」

たまたまお見合い、もとい任務で里外にいた私が帰還した時には、すでに事件は起きた後で、生き残りは彼だけだとして噂が広まった後だった。幼い彼の目元にはまだ涙の跡が残っていた。私が記憶している明るいサスケは鳴りを潜め、鋭い目つきで兄への復讐を口にした。そんな急な変貌に不安を覚えた私の提案で子供2人の奇妙な生活が始まった。幼い子供ならば、とサスケを狙う輩も少なからずいるだろう。一足先に任務についていた自分が少しは役立つかもしれないと思ったのもある。そして皮肉にもその予感は的中する。2人で修行した帰り道、雲隠れの抜け忍に遭遇してしまい、サスケ目掛けて襲いかかってきたのだ。私は咄嗟に任務の時と同様に写輪眼で相手のペースを乱し時間稼ぎをして、駆けつけた暗部に助けられ事なきを得た。サスケに危害を加えさせないようにするのが最優先で得られた情報は少なかったけれど、首謀者らしき人の情報は得られたので助けてくれた暗部にそっと伝えた。

「写輪眼、」

は、と気付くと、羨ましそうに、寂しそうに、私の目を見てそう呟いたサスケに曖昧に笑うことしかできなかった。サスケには写輪眼を開眼していることを伝えていなかった。しまった、と思うも後の祭りでもともとそんなに多くない会話は自然となくなった。お互いに気まずくて会話も少なく眠った翌日、彼は今までずっと触れられなかった核心に触れてきた。

「アカデミーには行かないのかよ。」

真剣な目で私に問うサスケに、私は忍に向いてないから、と言い訳した。

「俺より早く写輪眼開眼したのにか?」

不服そうにゴチる彼に、やっぱり根に持ってたか、とちょっと驚く。プライドの高い彼だから許せなかったのかもしれない。

「私は医療忍者になりたいの。それはアカデミーに行かなくてもなれるから。」

そう言って微笑むと、じゃあ俺がお前を守ってやるから俺が怪我した時は頼むな、と照れ臭そうに言ってくれた。それはプロポーズかな、と心の中で思うけど純粋な彼はそこまで考えていなさそうでもあった。ただ、アカデミーに行かず、相変わらず任務についていた私にとって、その言葉は精神的な支えだった。医療忍術を体得して、とっととこんな薄汚い任務抜けてやると意気込むには十分だった。生活が一転してしまってもサスケはアカデミーに通い続け、毎日の鍛錬も欠かさなかった。それが実の兄を殺すためだとしても、確実に彼の実力を高めていた。その様子に触発されるかのように私も医療忍術の体得に没頭した。