下忍になった、とサスケがいつもより柔らかい表情で教えてくれた。この前アカデミーを卒業したと聞いたばかりだったので素直に驚いた。すごい、おめでとう、というと照れたように笑う。
「初任務はどうだった?」
夕飯時、自分のことのようにワクワクしながら聞くと、簡単な任務だ、楽勝、と教えてくれた。
「依頼人から指定されたネコを探すんだけどよ、捕まえたと思ったらナルトのやろーがあちこち引っ掻き回されて手離しちまって。」
本人は気づいてないだろうけどとても楽しそうに話す。サスケの話には、ナルト、サクラ、カカシという名前が何度も出てくる。カカシってあのカカシさんかな、と面識ある不愛想な男を思い浮かべる。そういえば最近は彼と会っていない、と気付く。私が任務に入っていないのが原因だが、いつのまにか暗部は抜けたのか、と今知る。
「今度、Cランク任務で波の国に行くことになった。」
「Cランク?」
早くないか、と思い思わず聞き返してしまうと、特に意に止められた様子はなく、ナルトの野郎が火影に駄々捏ねた、と言う。火影様、なんて甘々な。
「泊りがけ?」
「あぁ。1週間ぐらいらしい。」
サスケが外泊するのは初めてのことだった。じゃあ、私も久しぶりに任務入れるか、と少なくなってきた預金通帳を思い返してふと思う。サスケがアカデミーを卒業して帰ってくる時間が不規則になったから、あまり定期的に任務を入れられていなかった。こんな自由シフトでいいのかな、と思うけど、例によって甘々な火影様は全く私をせっつくことなどなく心の中でそっと感謝するばかりだった。
「サスケ、」
明日から行く波の国の任務の準備をしているのか、明かりが漏れるサスケの部屋に声をかける。ドアが開いていたので遠慮がちに入ると、大きめのカバンに次の日の洋服と額当てが几帳面に用意され、まさに床につこうかとしているところだった。
「どうした。」
不思議そうにこちらを見るサスケに、う、と言葉を詰まらせる。
「あの、ね、一緒に寝てもいい?」
顔が熱い。寂しいから一緒に寝て、だなんて子供っぽすぎるかな。一瞬目を大きくしたけど、すぐに照れ臭そうに、枕持ってこいよ、と言ってスペースを作ってくれた。ベッドの壁側に私を押し入れて、電気を消す。
「怪我、しないでね。」
任務のことだと分かったのか、あぁ、と短く返事される。くるりと私と反対の方向を向かれてしまい、しゅんと寂しくなる。1週間会えないのにサスケは寂しくないのか、と自分と同じくらいの広さの背中におでこをつける。一瞬、びく、と動いたけどそのままにしてくれる。とくん、とくんとサスケの規則正しい心音が聞こえて安心してそのまま眠りに落ちた。