サスケが中忍試験に行ってしまうと、また持て余すほど時間ができた。拷問班にお世話になったり、医療忍術の修行をしたり、変わらない時間を過ごす。今は何かに没頭していたくてついつい修行にも力が入りすぎる。演習場で疲れて大の字で転がる私の顔の上に影ができる。
「医療忍術か。」
「嫌味言いにきたんですか?」
「なんでそーなるのよ、感心してんでしょーよ。」
起き上がり顔の半分以上が隠れるその人を見た。
「誰かに教えて貰えば?」
「逆に誰が教えてくれるんですか。」
刺々しく返せば、珍しく気が立ってるネ、と笑われる。
「教え子、どうですか?」
中忍試験に出かけて全く音沙汰ない幼馴染の事を聞いてみる。
「いい奴らだよ。荒削りだけど、それぞれ可能性を秘めてて。今は中忍試験の第2の試験真っ最中。」
この人でも人を褒めることはあるのか、と少し意外だった。サスケの事を聞いているのを分かってる癖にのに、全般的に答えてくるのが意地悪だと思った。
「イビキとアンコがそれぞれ試験官だったらしいよ。」
「なんですかそれ、拷問ですか。」
「さぁ。」
肩をすくめて目を閉じる姿に、この人自身も人伝に聞いた程度なんだろうと思う。いつもはサスケと座る場所がぼんやりと視界に入る。
「中忍試験って、死者も出るって、本当ですか。」
「まぁ、事実だネ。」
「うちはの血を狙ってる輩が、混じってたら、暗部は助けてくれるんですか?」
「んー、どうだろうね。」
どうだろうね、って何、と睨みつけると、怖い怖い、と茶化して言われる。
「暗部、見回りしてないんですか?あんなに他国から忍来てるのに?」
「そう怒らないでよ。一応ね、誰でも参加できるって訳じゃないのよ?ちゃーんと事前に審査があって、それに通過しないとそもそも参加できないんだから。」
「その審査に通ればやりたい放題って訳ですね。」
火影様どこまで甘いんですか、ってつい本音が漏れる。
「だーいじょーぶ。俺の部下はそうそうやられないから。」
胡散臭い覆面の方を見ると18禁と書かれた本を読んでいた。今度から変態も付け加えよう。
「そんなに心配なら、お前も忍になればよかったのに。」
考えなかったの、とさらりと言われる。悪気のない言葉にぐさりと胸を突かれる。
「イタチ以来の秀才だったんでしょ?」
久しぶりに言われた言葉に胸を掴まれる。
「サスケに嫌われたくなくて、護れる立場、諦めちゃった?」
図星で何も言えない私を横目でちらりと見てくる視線を感じて悔しさが増した。
「ま、俺には関係ないけどネ。」
明日、久しぶりに俺との任務だからよろしくね、と背中越しに手を振る姿にはぁと息を吐き出した。