19. 強がり

泣き疲れて眠る姿に小さく笑みが溢れる。言動も行動も大人びてるけど、年相応かそれ以上に子供なんだなと思った。もたれ掛かっていた身体をベッドに戻してやると、さっきまで泣いていた跡が痛々しく残っている。泣いていいと言ったのに、結局声を押し殺した。泣くのを我慢しているのに涙が出てしまう、といったように泣くのが余計痛々しかった。ガラガラとドアが開いてヒールの音が近づいてくる。

「眠ったか。」
「はい。すみません、特に原因は聞き出せないまま、」
「そうか。」

隣に並んだ綱手様はそう言うと、睡眠導入剤無しで寝れたならそれでよかったさ、と言った。思ってたより深刻だったようだ。

「泣き出したのも突然で、何がトリガーだったのかすら分かりませんでした。」
「…このジュースの山はなんだ。」

飲ませるつもりだったんじゃないだろうな、とすごまれ、話のキッカケにと思いまして、と言葉を捻り出した。

「ま、よく見知ったお前に安心したんだろ。」
「…役に立ったようで何よりです。」
「他に知り合いはいないのか。」

眠るそいつを眺めながら綱手様がそう問う。

「拷問班の何人かは任務を通じて面識があるそうです。あとは、俺の後任のテンゾウと、」
「うちはサスケか。」

はい、と答える。

「私の想像ですが、」

そう言って顔を窺うと続けろと促される。

「気が立っていたサスケに拒絶でもされたのではないかと。」
「こいつのサスケへの執着は凄そうだからな。」

目覚めたその日にサスケの病室まで歩いて行ってたぞ、杖もなしに、と呆れたように言われる。自分が目覚めた時のことを思い出し、え、と声が出た。そりゃ、肝が据わってる。

「生活の大部分をサスケを中心として構成しているようなものでした。任務も、サスケに気付かれない時間帯に入れてその報酬を生活費にしていたようです。」
「逞しい奴だ。」
「医療忍術も使えるようですが、それも何やらサスケとした約束がキッカケのようで。」
「溺愛とはこのことだな。」
「…それ以上かと。一族もあんなことになって、暗部と任務をしている以上同年代との繋がりもなく、サスケに依存する他なかったんでしょう。」
「うちはの悲劇か。」
「こいつ自身もうちはイタチ以来の秀才として幼い頃から期待されていたようで、初めて私が任務を共にしたときはまだ6歳でした。」
「こんな子供が木ノ葉の影の部分の犠牲者になるとはな。情けないよ。」

綱手様は俺の肩をポンと叩いて、報告ありがとう、お前も休め、と部屋を出て行った。