「初恋の人が里に帰ってきていて、自分が里抜けする前に感情に任せて抱いた時の子供を身篭ってたらしく息子がいるが、自分は別の人と結婚していて娘もいるのに、息子に会ってもいいものだろうか?」なんて、誰にも相談できなかった。ただ、会いたいと思ってしまう自分がいた。こんなときばかりは悪知恵が働くもので中忍試験前の修行をしてるはずだと思いつく。ならば行く場所は限られてくる。修行をつけてやれば自然と会う口実ができるだろう。思ったが吉日とばかりに演習場へと足を運ぶと、思惑通り見知った姿が視界に入る。うちはの家紋こそ付けていないものの、髪色も肌の白さも服装も、うちはそのものだ。
「精が出るな。」
気配を消して近づいて声を掛けるとひっと声を上げられた。
「うちはサスケ、」
「知ってたのか。」
「よく似てるって言われるから、そうかなって。」
聡い子らしい。そうか、と言うとそいつはクナイをしまってこちらに体を向けた。
「お前、名前は?」
仮にも息子にお前はなかったか、と少し反省する。
「サツキ。苗字サツキ。」
顔は俺にそっくりなのに真っ直ぐにこちらを見つめてくる目力は明らかにあいつのもので、なんとも言い難い感情に包まれる。話し掛けたはいいが、ここから修行をつけるまでどう持っていこうかと思案する。
「サスケ、さんは写輪眼使えるんだよな、」
ぶっきらぼうに、だけど期待を込めたような目でそう問われる。
「あぁ。」
「写輪眼の修行つけてくれねーか?」
そうか、こいつも写輪眼使えるのか、と数少なくなった眼術使いに新しい仲間が増えることに新鮮味を覚える。願ったり叶ったりだ。口角をくいと上げてやれば、向こうも嬉しそうな顔をする。
「構わない。中忍試験対策か?」
そう問うと漆黒だった目が朱に変わり首を縦に振る。写輪眼の紋様までお揃いときたか。
「上出来だ。」
こちらも写輪眼にすると嬉しそうに微笑む。ぼんやりと、幼い頃イタチが修行に付き合ってくれていたことを思い出した。あいつもきっと、こんな気持ちだったんだろうな。