27. 次の世代

うちは一族の生き残りが他にも居たという噂は瞬く間に広がった。中忍試験で派手に写輪眼を見せ付けた苗字サツキ、改めうちはサツキを始め、その妹、弟と母親がうちはに加わったと、サスケが正式発表した。もともとうちはだったのを身を隠すために改名していたと理由付けて。

「今日も聞かれたよ、うちは名前ってどんな人、って。」

そう言って屋上で落ち合ったカカシさんはフェンスに凭れ掛かった。

「なんて答えたんですか?」
「写輪眼の使い手だった、サスケと仲が良かった、医療忍術を使えた。まぁ、本当の事だからね。」
「ふふ、頼もしい父を持つ娘は幸せ者です。」
「もしかして、改名したのは、サスケじゃなくてお前の案だったの?」
「まさか。カカシさん、一緒に姓名変更届が残されてたの、見たじゃないですか。」
「その残させる所に関与したのか、って聞いてるんだけどね。」

末恐ろしい奴だね、と笑われる。

「人聞き悪いですよ。私はただ彼の意向に従っただけですから。」
「イビキとアンコにも会いに行ったんだって?」
「はい。もともと、医療忍者になってからあまり会っていなかったので、それはそれは大歓迎されましたよ。」
「イビキの歓迎って怖そうだね。」
「さすがに心折れそうでした。」
「じゃ、そっちの2人にもお願い出来たんだ?」
「そうですね。お二人とも快く口裏を合わせてくれることになりました。」
「快く、ね。させました、じゃなくて?」
「ひどいなー、カカシさん。私そんなに見境なく人を操る人に見えますか?」
「実績だけは立派だからね。」
「そんな失礼な。」
「俺も操られてるのかもね?」
「あー、カカシさん操れるなら、私は今頃火影になってます。あと、カカシさんの有能な部下?」
「彼、優秀でしょ?」
「IQ200って半端ないですね。カカシさんもそれくらいあるんでしょうね。」

凡人の私には羨ましい限りですよ、と言うと、凡人は写輪眼持ってないけどね、と返された。

「どう?上手くいきそうなの?」
「今の所は。3ヶ月に一回は会いにきてくれるらしいです。」
「サクラとサラダの軽く4倍か。やったじゃない。」
「ふふ、天才の父を持つと人生イージーモードですね。」
「今度は何が欲しいの?何も出ないよ。」
「感謝の気持ちを伝えてるだけなのに。カカシさん、意地悪。」
「まぁ、もうすぐ世代交代だから、天才でも頼れる父でもなくなると会いにきてくれなくなるんだろうね。」
「そんな、寂しいこと言わないでくださいよ。私、大好きですよ?カカシさんのこと。」
「そりゃ光栄なことで。」
「かつての師から受け継いだ座をその子供に世代交代ですか。寂しいですか?」
「寂しさ半分、嬉しさ半分、だね。」
「ふーん。」
「なーによ、お前の能力の後継者でも現れた?」
「え、何で分かるんですか、ストーカーしてます?」
「失礼な。」
「…イチカがどうもそうっぽいんですよね。バリバリ戦闘タイプでこの瞳です。」
「嫉妬しちゃうね?」
「その内私も操られるようになるんでしょうね。」
「さぁ?何だかんだ師は超えられないもんだよ。」
「だといいですけど。」
「正直に、さ、俺にも使ったことあるの?その力。」

どうしても気になったようで、再度問われた。

「ありますよ、破られましたけど。」
「!そう。」
「その時から、この人には一生敵わないなと思ってました。」
「そんな事あったっけ?」
「覚えてます?初めての任務。『その眼、あんまり使わない方がいいんじゃない。』って言って見破ったんですよ、カカシさん。普通は気付かないんです、眼を使ってることすら。写輪眼になってる事すら。」
「そう。」
「最初で最後ですね、今のところ。ハナから術に掛からなかった人。」
「?あれ、シカマルは?」
「あの人は掛かるんですけど、途中でなんか違和感覚えるのか破られました。」
「ふーん。写輪眼持ってれば多少対抗出来るんでしょ?」
「サスケを見てくださいよ。」
「はは、そうだね。仮にも全忍界にその名を轟かせる罪悪人でもだめだったか。」

自分だけだったという事に気を良くしたのか、ニコニコと笑顔を向けられた。こういう所父親だな、と思う。

「…なんで、私に力貸してくれたんですか?」
「何よ、俺の一世一代の大告白聞いてなかったの。」
「今でも一言一句思い出せます。」
「それは嘘でしょーよ。」
「…すみません。」
「なんか分かんないけど、助けてあげたい、って思っちゃったのよ。」

操られてるのかなーって疑ってもおかしくないでしょ?、そう言われて拍子抜けした。彼自身も理由が分からずしてくれていたのか。

「まぁ、その間抜けな顔だと、操られてた訳ではないみたいだけど。」
「…失礼ですね。当たってますけど。」

ふっ、と軽く笑って、じゃあ俺ナルトの就任式に行くから、と私の肩に手を置いた。

「はい。いってらっしゃい。」

いつかのように背中越しに手を振ってドアをくぐっていった。