火影を退任しても定期的に顔を見せてくれる姿に、本当の父娘みたいだな、なんて思ってしまう。自分にも大事な人がいるという事が慣れなくて彼女を見る度に心がじんとする。
「ついに末っ子のオリテも下忍になりました。」
嬉しそうに笑う姿に、よかったね、と声を掛ける。
「サツキ二号はできる予定ないの?」
「な、そんな予定はありません!」
普段気遣いの塊の癖にたまに全然デリカシーないですよね、とプリプリする姿を微笑ましく思う。
「定期的に会えてるんでしょ?」
「おかげさまで。」
「よかったね。」
本当に心の底から嬉しそうに笑う姿を見て、よかったね、ともう一度心の中で呼びかける。
「それで?どうやって完全犯罪は完成したの?そろそろ教えてくれてもいいでしょーよ。」
「完全犯罪って、人聞き悪いです。」
「じゃあどうやって騙したの?お前のサスケくん。」
「やっぱりその呼び方、カカシさんが広めてたんですね。昔イビキさんに言われておかしいと思ってました。」
一呼吸置くと、軽蔑すると思うんですけど、と前置きをした。
「大丈夫、もうとっくに軽蔑する箇所山ほど超えて来たから。」
「ご尤もで。…まぁ、写輪眼でちょっと思い通りに動いてもらいました。」
「里抜け前の話?帰って来てからの話?」
「えっと、両方です。」
それは意外で言葉が出なかった。俺の様子を見て恥ずかしくなったのか顔を赤らめている。
「じゃあ確信して身篭ったんだ?」
「そっ、それはさすがに想定外でしたけど、」
「へぇ。じゃあ帰って来てからは?サスケだってサクラのこと無下にしてるようには見えないけど。」
「ちょっと、健気に頑張って来た私を、見て貰いました。」
「こいつ、俺が置いて行ってからこうやっていつも頑張ってたのか、感動、みたいな?」
「何でわかるんですか。」
「ほら、親子は似るって言うから。」
そう言うと擽ったそうに笑う。いい加減慣れなさいよ、と思うけど、毎回幸せそうに笑ってくれるもんだからこちらまで嬉しくなる。
「それで思い出したんですけど。」
「ん。」
「カカシさん、一緒に住みませんか?」
「何、プロポーズ?」
「そんな嬉しそうな顔して茶化しても誤魔化せてませんよ。」
「独居老人気遣ってくれたんだ?」
「子供達もそろそろ手が掛からなくなって来ましたし。」
「独占欲の塊みたいなあいつは?」
「あの人三ヶ月に一回、こちらが会いに行ってますからね?それに里にいる時は家に帰りますから。私のことは何も言わせません。」
いつの間にそんなに逞しくなったんだか。病院で自分の前で大泣きした日はそんなに昔のことだっただろうか。声を出して笑ってしまう。
「前に言ってた、手の掛かる娘がいるからいい人ができないってのは冗談だからね?一応。」
「わかってますよ。」
顔を覗き込むと気まずそうに目を伏せてしまう。
「子供達があまり家に帰って来なくなって寂しくなりました。」
「そ。」
「寂しいもの同士、仲良くしません?」
それは本心らしく、そうだね、と返事をすると嬉しそうに顔を上げた。その顔を見て何だかんだ自分も誘われて嬉しかったのだと気づく。似た者同士、寂しいもの同士、仲良くしようじゃないの。