「どう思う?奈良先輩。」
「さぁ。俺はそいつでもお前でもねぇから何とも。」
「そっか。」
いつも通り奈良先輩の家で勉強を見て貰いながら合間に相談してみる。もちろん名前は伏せた。先輩とは仲良さそうだったから、考え方とか似てるかなと思って期待してただけにその解答は少し残念だった。
「なんだ、お前もそういう奴、いたんだな。」
「あ、そういう感じでもないんだけど、いろいろあって。」
「そうかよ。」
「ね、ここどういう意味?」
「どこ。」
話題を変えたくて勉強の続きを促した。教科書を近づけて、ここ、と指差すも反応がない。
「奈良先輩?」
そちらを見上げると唇が奪われた。奈良先輩とこういう事をするのは初めてじゃなかったけど、勉強中は勉強、と線引きしてくれてるような人だったから意外だった。唇が離れて行って至近距離で真剣な目に見つめられる。
「名前。」
「は、はい。」
「そんな奴追いかけなくても、俺が付き合ってやるから。」
「へ?」
「んなめんどくせぇこと考えんの、やめろよ。」
突然で思考停止して何も言えない私に困ったように笑いかけて、私が質問した所を説明し始める。折角丁寧に教えてくれたのに説明なんて一個も頭に残らなかった。その後何も無かったように帰されて、奈良先輩のマンションから出た所で先輩に会った。
「シカマルん家?」
「あ、はい、勉強教えて貰いに。」
先輩の隣に並んで歩く。
「奈良先輩に、告白されました。」
「よかったな。」
「何も、言えませんでした。」
「付き合わないのか?シカマルと。」
「なんか、よく分かんなくて。考えた事なかったから。」
「きっぱり割り切ってる女って珍しいな。」
「そんな言い方しないでください。」
もし、と言って先輩が足を止めた。合わせて私も止まる。
「俺とあいつ、どっちか一人と絶対付き合わなきゃならないってなったら、俺を選ぶだろ?お前。」
「どこから湧いて出るんですか、その自信。」
「違うか?」
「…違わないです。」
フン、と笑って頭をくしゃくしゃと撫でられる。
「ほいほい家に行くから勘違いされんだよ。」
「仰る通りで。」
「自分で勉強出来るようになるか、女に見て貰え。」
「正論ですね。」
「珍しく素直じゃねーか。」
「なんか、先輩、やっぱちゃんとしてますよね。改めて凄さを感じました。」
「金目の物なら受け取る。」
「ナチュラルに貢がせようとしないでください。」
もう一度頭を撫でてじゃあな、と交差点を渡った先輩を見つめる。見えなくなる前に一度振り向いてくれるんじゃないかと期待してずっと背中を見つめていた。