イタチに頼まれて彼の実家に贈り物を届けると、アカデミーから帰ってきていたらしい弟くんに声を掛けられた。いつもは私を目の敵とばかりに接してくるのに。意外に思いながら足を止める。
「あのさ、次の休み、修行見てくれない?」
もじもじと足元で何かを蹴るようにしながら問われる。可愛い。顔が可愛いっていうのもあるんだろうけど、言動や仕草が堪らなく可愛い。他人ながらにこんなに可愛いと思うんだから実の兄ならもっと可愛いだろうな、と頬が緩む。
「ね、だめ?」
自分が可愛い事が分かっているのか、上目遣いで若干頬を赤らめて問いかけられる。
「私でよければ、もちろん。」
自然と口から出た言葉を自分で聞いて驚く。あぁ、彼もこんな風に自然とおねがいを聞いてしまうんだろうな。
「ほんと!」
目を輝かせて言われると嫌な気はしない。そうこうしていると任務を終わらせたらしい恋人の気配を微かに感じた。
「おかえり。」
声を掛けると驚いたように、ただいま、と言われた。
「兄さん!今日は早かったんだね!」
「あ、あぁ、案外スムーズに進んで。」
「そうだ、今度、名前に修行付けてもらう事になったんだ。」
その言葉にパッと彼が私の方を振り返る。
「そうか。サスケ、先に中に入っててくれ。」
「はーい。」
とたたっと奥に入って行った背中を見送る。
「すまないな。あいつのおねがい、断れないだろ?俺も何度も思わず。」
「ふふ。イタチの苦悩が少し分かった気がする。」
優しく手を引かれてすっぽりと腕に収められる。イタチの匂いに包まれ安心した。縋るように背中に回した手に力が入る。
「あ、名前、何してんだよ!」
慌てた声が聞こえてきて、そう言えばご実家の玄関前だった、と恥ずかしくなる。玄関から出てきたサスケくんにイタチから離すように手を引かれた。
「ご、ごめんね。」
「、母さんが、名前も、晩ご飯、食べてくか聞いて来いって。」
そう言って私の手を引いたまま玄関の中に入って行く。イタチの方を見ると困った笑顔を向けられる。
「食べてくでしょ?」
手を引いたまま上目遣いに言われると断る事なんて出来なくて、うん、ご馳走になります、と答えてしまっていた。