「名前は兄さんと任務でも一緒だっただろ!譲れよ!」
目に涙を溜めてそう怒鳴られる。イタチの次の休みに修行を見てくれと頼むと、私と久し振りに合わせた休みだから、と断られたらしい。イタチがサスケくんのおねがいを断るなんて、と驚く。それ程まで二人の休みを大事にしてくれてる事に感動した。
「ごめんね。」
「なんで名前ばっかり!俺の方がずっと兄さんと一緒にいたのに!」
後ろでイタチが心苦しい顔をしている。
「ごめんね?」
「謝るなら譲れよ!」
目線を合わせようとしゃがんでいた私の肩をぽかすか叩く。
「サスケくん、」
声を掛けると手を止めプイッと顔を逸らした。その様子を見てイタチが近づいて来るのが見える。
「サスケくんは、兄さんのこと好き?」
「…うん。」
「一緒にいたいと思う?」
「当たり前だろ。」
「私もね、イタチのこと好きなんだ。」
「…知ってる。」
「だから、一緒にいたいなって思っちゃう。」
「うん。」
「任務の時はね、私、余裕ないの。」
「余裕?」
「そう。敵をやっつけなくちゃとか、お願いされた事ちゃんとやり遂げなくちゃとか、怪我しないようにしようとか。そういうので頭いっぱいになっちゃう。」
「…俺も修行の時はそんな感じ。」
「そっか。」
「うん。」
「だから、折角イタチの隣にいても、休みの日も会いたいなって思っちゃう。」
イタチが口元を手で隠すのが見えた。
「だから、ごめんね?他の物は全部サスケくんに譲ってあげれたとしても、これだけは譲りたくないの。」
「わかってる。」
「そっか。」
「わかってる、けど、前みたいに、俺だけを見てほしい。それだけなんだ。名前が来る前は、兄さん、俺だけを見てくれてたから。」
「サスケ。」
いつの間にか近くに来たイタチが涙を浮かべた弟を抱き締める。
「すまない、サスケ。」
「いいよ、わかってるから。」
不貞腐れた口調で言うのが可笑しくて笑ってしまい、余計に不機嫌な顔になる。
「笑うなよ名前。」
「うん。」
「名前は兄さんと会うんだから、その分俺の修行見ろよ?」
「任せて。」
「サスケ、見て貰うんだからそんな言い方ないだろう。」
そう言ってサスケくんをおんぶして部屋の中に連れて行く。その姿を少し申し訳ない気分になりながら見送った。さて帰るか、と思っていると彼がまた出てきた。
「家まで送る。」
「ありがと。」
「あんな殺し文句、ずるいだろ。」
「ふふ、聞こえてた?」
「休み、楽しみにしてる。」
「私も。」
弟くんが俺のことを見て欲しい、って思うのと同じくらい、私も私のことを見て欲しいって思ってる。ライバルみたいだな、とまだ小さい彼を頭に浮かべた。