09

「二小隊の体制は譲れません。それ以上もそれ以下もあり得ません。」

数分前と打って変わって強気に言う姿に他の人が圧倒されている。

「それはいんだけどよ、やっぱ二カ国の忍が協働するってなったらどうしても付け焼き刃の連携になっちまうだろ。それならいっそ数を減らして一小隊にするってのも無くはないだろ。」
「確かに定石ですけど、大丈夫です。役割ごとに軽いツーマンセルの形式で動いて貰うので最悪そこだけ連携深ければなんとかなります。最後の救出はそれぞれの里の二人ずつフォーマンセルで。」
「じゃさっきのとこまでは纏まったな。配置だけどどうすんだよ?向こうは未知数だぞ。」
「何が来ても対応できるように陽動、救出、戦闘、それぞれ特化した人とその人達と長く組んだ事のある人でしょうね。」
「医療、感知、近距離ってとこか。」
「感知の代わりに瞞着、どうですか?」
「は?只でさえ手薄なんだ、手堅くがセオリーだろ。」
「裏の裏読むの好きなんじゃなかったんですか?」
「…向こうも考えは同じって事か。じゃあ性質も被りそうなのは避けるか。」
「統計的に水遁使いが多いから風・土あたりですかね。」
「火だと調達し易いけどな。勝算は?」
「8割5分。やっぱり特化させるよりは相性カバーする方が手堅いですよ。でも母数が多い方が2:6:2の法則からいっても有利なのは一理ありますね。」
「お二人さん、ある程度纏まったら俺たちにも教えてね?」

六代目に言われてはたと気付いて周りを見渡す。ぽかんとした面々が見えた。

「あ、すみません、何処から話したら、」

彼女が申し訳無さそうにペラリと資料をめくっている。俺と話しながら書き殴ったメモを確認してるようだった。

「んー、じゃあウチから出す人員の候補とその理由からかな?」

明らかに自分のペースで話し始めた辺りから指定されて苦笑している。助けてやるか、と口を開いた。

「ウチからは医療忍者1名、あと近距離タイプと幻術使いかそれに匹敵する中距離タイプを1名ずつ。残りの3名はそいつらと息の合う奴らが良いと思ってます。」

俺の後を引き継いで彼女が口を開いた。

「医療忍者以外は出来れば火、土、風いずれかが得意な人で構成されてると成功率が上がるかと思います。」

陣形を描いた資料を受け取った六代目は何かを考えているらしく、腕を組んで黙り込んでいる。

「鶴翼の陣か。フォーメーションが期待出来ない時は妥当だな。メンバー構成はちょっと変わってるけど、これはこれでアリかもね。」

呟くように言われて彼女がそっと安堵しているのが見えた。天才忍者と呼ばれた目の前の人はさっと情景が浮かんだらしい。さすがだ。

「二小隊を完全に二つに分ける訳でもないのね。霧と木の葉の合同小隊って訳か。ん、納得して貰えるんじゃないかな。」

笑いかけられた彼女がペコリとお辞儀した。結局火影様からゴーサインが出てその話題は終結した。招集されてたメンバーがぞろぞろと火影室を出て行く。苗字もそれに続いている。火影室を出る直前俺と目があって恥ずかしそうにはにかんだかと思うと、ありがと、と口を動かした。読唇術なんか心得てなくても十分わかったその言葉に今度はこちらが気恥ずかしくなる。

「よかったね。仲直りできたみたいで。」
「全くっす。…て、え?いや、何の話っすか、」
「お前たちの強みは何と言ってもやっぱり2人で意見ぶつけ合って完璧な案を作っちゃう所じゃない。仲良くないとできないよね。」

しみじみと言われ顔が熱くなる。この人の場合、本当に喜んでくれてるのか茶化してるだけなのか判断が難しいが今回ばかりは本当に思ってくれているらしい。お礼を言うとニコリと目がなくなるくらいの笑顔を向けられた。

「最後のありがと、って可愛かったね。」
「いいから早く残りの資料作成終わらしてください!」
「はいはい。」

前途多難だね、と呟きながら資料の山に向き合ったその人に思わず溜息を吐いた。あんたもその多難を作ってる一因なんだよ。