「ねえねえねえねえ!!」
何やら興奮した様子で、春樹が小走りに近づいてきた。既に嫌な予感が冬樹の胸に渦巻いた。
「あのさ、オレの術式って触れたものに月下美人咲かせて殺す感じじゃん??
だったらさ、反転術式成功したら、蘇生ができると思わない!?」
早口でまくしたてる春樹に、冬樹は数歩後ずさる。明らかに、呆れたように顔をしかめた。
「そんなに蘇生がしたいのか?」
「したい!だってさだってさ、蘇生ができたらさ?」
春樹はさらに冬樹との距離をつめ、彼女の手を握る。手袋越しに触れる二つの体温は交わらない。
「オレが冬樹に素手で触れて、それで君が死んでしまったとしても…反転術式で生き返らせれば、オレは何度でも君に触れられる…!」
春樹はうっとりと宙を眺める。冬樹の手を握る力が強くなった。冬樹はそれを、さらに強い力で振りほどく。鋭い目で春樹を睨みつけた。
「単純に気持ち悪いからやだ」
「えーザンネン!好きだよ冬樹」
「黙れ」
春樹はもう一度冬樹の手を掴んだ。今度は少しだけ、冷たかった。