#11


久部くんのバイクの後ろに乗り、緑が多い町並みを見つめる。運送系の会社が近くにあるのか、トラックも多い。2km先の目的地まで、もう少し。ぱっと目についた奥まったところにある家とトラック。それをジッと見つめながらも、すぐ景色はまた緑一色になった。



「ありがとうございました」
『ありがとうございました』


ぺこりと頭を下げて、歩き出す。ここの冷凍倉庫はとても警備がしっかりしていて、とてもじゃないけど、ここで凍死させるのには無理がありそうだった。この周囲で他に冷凍倉庫がないか探そうか、という久部くんの言葉でピンっときた。


『ねえ、さっき通った道、戻ってもらっても良い?』


先程気になった、少し奥にある家とトラック。確かチラッとしか見えなかったけど、あのトラックは普通の運送用ではなく、冷凍機能がありそうなトラックだったはずだ。家の近くにバイクを止めて、周囲を伺う。家の前には大きなトラック。


『…-20℃の、走る冷凍庫、』
「ゆ、き…」


トラックの車体には《-20℃》の文字が。そして近くからは温泉が出ているようで、熱湯が出ている部分の塩を採取してもらうよう久部くんに指示をする。トラックの金具を触って、ドアを開く。久部くんに咎められても私の身体は止まらなかった。


『、よっいしょっ、』


トラックの車内に侵入し、薄暗い中を照らすためライトをつけた。乱雑に置かれた箱が数個あり、その隙間に2本の黒い結束バンドが落ちている。急いで拾い、久部くんの腕を引っ張り結束バンドを当ててみる。


『手首の内側にあった傷、掠れじゃなくて、こうやって縛られてたとしたら…?』


胃の中のサンドイッチやおにぎりはお店にあった商品の半分の量だった。と、いうことは…


『誰かと分け合って食べていたとしたら…?』
「それって…」


久部くんは、驚いた顔をしていたけれど二人でまた車内を物色する。ライトで照らし、なにか手がかりになるものはないかと必死に探すと、何やら書き途中の小さなメモ紙が吊るされていた。慌ててメモ紙を外し、花ちゃんのダイイングメッセージとなっていたメモの写真と照らし合わせる。


『これだ…伝えたかったこと、』


「タスケテ 花イル…」

『花は…監禁されてるもう一人の名前。』
「行方不明の松倉花は…?」


きっと彼女はどこかで監禁されている。急いでラボの誰かに連絡しなくては。と思い携帯が入ってる上着のポケットに手を入れる。


『あれ、携帯ない…』
「え、」
『うっそ、どこかに落とした…?』
「俺、スマホ、バイクです」


久部くんにスマホを取ってきてもらおうと、私は変わらず車内を物色する。何かないか、と集中すると、僅かに聞こえたギーっという鈍い音ともに少しずつ車内が暗くなる。閉じ込められたと気づいたのは久部くんが急に走り出して、犯人だと思われる人物と揉み合った際倒れた時だった。




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