04



エースとサッチさんに助けられて数日が経ちました。

いや、まさかエースに面倒をみられるとは思ってなかったけれど……。
これが意外や意外。
エースは面倒見が良くて、とても快適ですハイ。

白ひげ海賊団にいるとどうしてもエースが末っ子ってイメージが強いんだけど……。
そうだよね、もともと面倒見の良い兄貴肌気質で……。

なんたって、ルフィのお兄ちゃんだもんね。










04 へんか










「シロ!今から二番隊の訓練なんだ。来るか?」
「ワン!」


今日も今日とてエースに声を掛けられて、その後ろを着いて行く。
うん、今日も好きなキャラクターと一緒に居られると言うことは幸せです。

エースは漫画の通り、元気で明るくて、馬鹿やってるみたいに見えるけど、何処か先を見越してて。
エースの近くに居ればいる程、やっぱり好きだなぁという気持ちが大きくなっていく。
やっぱりワンピースの中じゃエースが一番好きだ。うん。

今日は二番隊の訓練だと言うことで甲板へでてみれば、すでにたくさんの人がエースを待っていたらしい。


「なんですかエース隊長〜。今日もシロと一緒っすか!」
「えっ!?まさかシロも訓練に参加させるんすか!?」
「バーカ!シロは訓練にいれねぇよ!…でもまぁ、走り込みとかでシロに負けたら罰掃除とかいいかもしんねぇな…。」
「げっ!!」
「ちょ、隊長!人間が狼の足に勝てるわけねぇっすよ!!」
「ははっ!それも訓練だろ?よし、後で追いかけっこするからな、頼むぜシロ!」
「アゥン!!」


ニィっと悪い笑みを浮かべたエースに苦笑して、元気よく返事を返す。
皆が強くなるためならいくらでも協力しますとも。

そんな私の返事に満足したのか、頭を撫でてくるエース。
……エースの掌は温かくて気持ち良い。


「それにしても……。」
「なんだ?」
「シロって、めっちゃ頭良いっすよね。」


まるで俺等の言ってる事全部理解してるみたいで。

と、二番隊の隊員さんのセリフにドキリとする。
そりゃ、まぁ、理解できてますから。
私、一応人間ですから。
なんてことはもちろん言えないわけで。


「確かにシロは頭いいよな。お前ら負けてんじゃねぇか?」
「えー。エース隊長も人の事言えねぇでしょ。」
「よしシロ。ウォーミングアップしとけ、全力でアイツ追いかけろ。」
「ちょ、エース隊長ひでぇ!!」


どっと笑いに包まれる甲板。
エースも満面の笑みで笑ってて……。
“よし、はじめるぞー。”と言う掛け声で、みんなの方へと歩いて行ってしまった。
私は邪魔になるだろうとその場に腰を下ろす。

まずは肩慣らしなのだろう。
それぞれが武器を手に、近くの人間とかるく打ち合う。

それをみて、フと思い出した。


実は、私はこの世界に来てから、人間の姿に戻れなくなったのだ。


神器は装備することができた。
(人目に触れてしまうかもしれないから、常は外しているけれど)
装備品も然りだ。
筆技だって使えるし、アイテムも全て使用可能

ただ、人の姿に戻れなくなっただけ。

高天原に居たときは念じるだけで良かった。
念じるだけで人の姿とアマテラスの姿、どちらの姿にも変化できた。

けれど、ここにきてからまるで…何かが邪魔でもしているかのように。
私は一切の変化が出来なくなっていたのだ。


もちろん、この状況下ですぐに人間に戻ろうとは思っていない。


少なくとも獣だと思っていた生き物が、突然人間に化ければ怪しまれてしまう。
(能力者ではないとバレてしまっているし)
だから、今この瞬間に人間に戻りたいと思っているわけではないのだけれど…。

せめて、陸地に着いたとき。
人の姿でお礼が言えたら、なんて思っていたのだ。
(もちろん、そのときの白ひげ海賊団との関係や状況にもよるけれど)

それにこの先、一生人の姿に戻れないとしたら、正直、キツい。


「どうした、シロ?」
「!」


突然話しかけられて、ハッと目の前を見やれば…。
そこにいたのはキョトリとしたエース。


「調子悪ぃか?変なもん食ってねぇだろうな?」
「ワン!」
「ははっ!お前はそんな馬鹿ことしねぇか!」


また、頭を撫でられる。
エースの掌はまるで……太陽の様だ。
暖かくて、ポカポカして、気持ち良い。
これも、エースがメラメラの実の能力者、だからだろうか。


「よし、肩慣らし終わったからな。追いかけっこしようぜ、シロ!」
「ワォン!!」


エースと二人、にやりと笑って隊員たちへと振り向けば……。
びくり、と屈強な男たちが肩を揺らす。

ソレを見て、更にあくどい笑みを浮かべたエースはサドなのかも知れない。


「行けシロ!全員捕まえたらサッチに言って晩飯豪華にしてやる!!」
「ワンワン!!」


サッチさんの豪華なご飯と聞いて俄然やる気が出てきた。
(そりゃもう美味しいんだから。)


「お前らはシロに捕まったら罰として掃除1週間だからな!!」
「エース隊長の鬼っ!!」
「うぉおおおおお!シロ!待て!こっちくんな!!」
「シロ!おすわり!おすわりd……ぎゃああああ!!」
「ワン!!」
「こっち来たぁああ!!」
「あっち行け馬鹿!!」
「あっはははははは!!!」


エースが笑う。
楽しそうに、嬉しそうに。
その笑顔を見て……

……まぁ、今はこのままでいいか。

なんて、思ってしまうくらいには。
彼の笑顔が好きな様です。















(ハグハグ。)
(すげぇなシロ!二番隊全員捕まえたんだって?)
(狼と言えど、すげぇよい。)
(………。)
(…で?うちの末っ子ちゃんは何であんなにしょげてんの?)
(あぁ、エースもシロに捕まったんだよい。)
(……マジで?)
(マジだから落ち込んでんだろい。)


04 END



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ゆめうつつ