HappyWhiteDay3


 



Happy White Day
チョロ松の場合



「留衣ちゃん」




“人目につくのは嫌だから、こっそり家にお邪魔してもいい?”
朝方、チョロ松から来たメール。

あの六つ子がどう口裏を合わせているのかは知らないが、ちゃんと一人ずつ時間をずらしてくるあたりが無駄にすごい。去年もだったけど、誰ひとりとして時間がかぶらない。


もうすっかり日も暮れた頃、約束の時間にひょっこりとチョロ松が顔を出した。




「もうあいつらからは貰った?」


『うん』


「…そう。じゃあ、僕からも」




何を、とは言わなかったがお互いに分かっていた。
彼がゴソゴソとポケットから取り出したのは、何やら小さな箱。




「これ、留衣ちゃんが気に入るかは分からないけど…」




箱の大きさと形からして、もしかしてとは思ったけど。
予想はしていたけどまさか本当に出てくるとは思わなかった指輪がそこにあって、少し驚く。

ネックレスの線もあるかと思ったけど、指輪の方だったか。




「あ、ごめんね、これそんなにしっかりしたやつではないんだけど。でもそこそこのだよ。
留衣ちゃんがどんなの好きかどうか分からなかったからお店の人にオススメ聞いたんだ…気に入るかなぁ」


『うん、かわいいよ』


「本当?良かったぁ…」




石がいくつか付いているだけのいたってシンプルなその指輪はオーソドックスで私好みだ。
それは良いのだけど、バレンタインのお返しに指輪。しかも私達は恋人でも何でもない。

無自覚だろうなあなんて思いながら、私は心の中で多少頭を抱えていた。




「もちろんプロポーズの時はもっと良いやつにするからね。
…それまでは、他の人のモノにならないでね……」




酷く真剣な視線を投げられて、思わずどう返せば良いか迷ってしまう。
イエスともノーとも言えない私はその言葉への良い返事を特に思いつかず、ひとまず「ありがとう」とそれを受け取る以外に方法がなかった。








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