HappyWhiteDay4


 



Happy White Day
一松の場合




「留衣」




あいつらがくっついてきたら嫌だから、って。
前日のうちに一松からは今日の待ち合わせ時間と場所を言われていた。

近所にあるスーパーの裏側、人通りが少ない場所。変な場所を指定してくるあたりが一松らしい。
こんなところ確かに誰も来ないだろうと考えながら一松を待つ。
待ち合わせ時間の5分前、10分前にすでに着いていた私は横の通りから出てきた彼に声をかけられた。




「ごめん…待った?」


『いや、そんなことない』


「そう…。あの、分かってるとは思うんだけど、」




――これ、お返し。
遠慮がちに差し出された箱は、ぱっと見てプレゼントだと分かる。




『ありがとう』


「…留衣、あの……」


『?』


「……、その…」




綺麗に包装されたそれを受け取ろうと手を伸ばしたが、なぜか箱を渡されることはなかった。
かわりに、その箱を持ったまま目を泳がせる一松。




『…?どうしたの?』


「えっと…あのね……」


『うん』


「だ、…」




口をもごもごさせる彼を見て何か言いたいのであろうことは察した。が、肝心の次の言葉がなかなか出てこない。
でも彼相手に急かすわけにもいかないし、伸ばした手を下ろしてひたすら待つ。




「だ…」


『……』


「だい、」


『……うん』


「だい……だいす、き…です…」


『…ん、ありがと』




最後は手に持っていたプレゼントの箱で顔を隠されてしまったけど、一松の口からその言葉を聞くことができて嬉しく思う。
見た感じ、会う前から言おうと決めていたのだろう。彼が“大好きです”なんてまず言わないから。

「私もだよ」と言いながらプレゼントの箱を奪ったら、真っ赤な顔をした一松に「こっち見ないで」と怒られた。








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