HappyWhiteDay6
Happy White Day
トド松の場合
「ハイ、これバレンタインのお返し!」
インターホンが鳴ったので出たらトド松が立っていた。
お返しを届けるべくわざわざ家まで来てくれたらしい彼は、これから出かけるわけでもないのにおしゃれな格好。
手渡された紙袋に見覚えがあって、思わず聞き返す。
『え、これゴデ○バの…』
駅前にお店があるからそこで見かけたことがあった。買ったら一粒数百円する、誰もが知るあのお高いチョコレート。
プレゼントとして買ったことはあるが自分で食べたことはない。あの値段を自分のために出そうとは思わない。
そんなチョコをトド松から貰うとは全く思っていなかった。
『高かったでしょ?』
「ん?ああ…まあ高いやつ…だけど……。
それがどうかした?」
『いや、単純に申し訳ないというか…』
私が一か月前にあげたのは手作りのお菓子。値段だけで見れば比べ物にならない。
それにトド松はバイトをしてないからお金には余裕がないはず。他の子のお返しもあるし、かなりの痛手になってしまっただろう。
それこそ他の人を優先してもらって、私には気を遣わなくても良かったのだけども。
『トド松今年もたくさんお返し買わなきゃいけなかったんでしょ?
いいんだよ、わたしなんて板チョコ1枚で』
「そんなことできるわけないじゃん」
『…ありがとう、でもほんとに無理しないでね』
「無理してない!…ことはないけど。
仕方ないじゃん、気付いたら買ってたんだよ……」
『気付いたら?』
「うん。…留衣のこと考えてたら、気付いたらこれ買ってたの。
だから留衣は黙って受け取ってくれればいいの」
――僕だってこんなの一生買わないと思ってたよ。
顔を赤くしながらトド松が頬を掻く。
「大体こんなクソ高いチョコ、留衣以外に買う訳無いじゃん。
一番お金かけるの留衣の分に決まってるじゃん、本命にかけなくてどこにかけるのって感じ」
『…ありがとう』
「値段が全てじゃないけど、好きじゃなきゃお金かけないから。
留衣はもうちょっと僕に愛されてる自覚持ってよね……」
顔の赤みはそのまま、むすっとむくれるトド松。
気持ちはわかってるつもりだよと撫でたら、「そんなもんじゃない」と真面目な顔で返された。
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