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今度は十四松とチョロ松がチェンジ。半分くらい溶けたパフェを彼にも同じように食べさせる。
少し恥ずかしそうにパフェを頬張った後にチョロ松はふにゃりと笑った。
「幸せ〜…こいつらがいなけりゃ完璧だったのに……」
「お前もな!」
『みんなで来るのも楽しくていいと思うけどね〜』
「僕は留衣ちゃんと二人が良かった…」
『…じゃあ次暇なときにでも』
「えっ、いいの?」
「あ!ずるい!」
コトリ。チョロ松が驚いたようにカップを置く。
お茶くらいなんてことないよと返したらまた幸せそうに笑った。うん、その笑顔可愛くて好き。
さて残るは最後の一人。そろそろ声をかけないとまずそうだ。
『カラ松、一松と交代』
「時間か……仕方ない」
「早くしろクソ松」
静かではあるけど放置しっぱなしだと放つオーラが怖い。前回は公然猥褻をしていたみたいだけど今日は大丈夫だろうか。そもそもなんでそんなことになったし。
『一松、あーん』
「あ……ん、もう一回、留衣」
『一松は甘いもの好きだねえ』
「甘いものっていうか留衣が好きなんじゃねーの〜?」
「うるさいな…何でもいいだろ……」
ドロドロ寸前、辛うじてスプーンで掬える程度のパフェを垂らさないように運ぶ。
いつも半目で無表情な彼だけど、甘いものを食べている時は嬉しそうだ。
『幸せそうな一松眺めるの好きだなあ』
「……あっそ。次、俺がやる」
にこにことは言わないけど口角の上がっている一松を見て私も口角が上がる。
眺めていたらスプーンを奪われた。パフェはもうほぼ液体に近い。
空になったパフェのグラスと残り僅かなみんなの飲み物を見て、そろそろ帰る頃かと時計を見る。1時間くらい居座っていたようだ。
幸い大きな事故は起きていないから、帰るなら今のうち。そろそろ行こうか、と六つ子に声をかけて立ち上がる。
「留衣!」
『…トド松。お疲れ様。仕事抜けて大丈夫なの?』
「うん、今お客さん少ないから。
兄さん達のこと止めといてくれてありがと。やっぱり留衣がいるだけで全然違うね」
帰り際、トド松がエプロン姿のまま駆け寄ってくる。手だけ振って帰ろうと思ってたけど、今は余裕があるらしい。
「今日は平和に終われそうだね」と言ったら「ほんとにね」と疲れた顔で笑われた。
「留衣、本当にありがとう。留衣がいれば兄さん達ももう手出しできないよ。なんで初めからこうしなかったんだろう」
「ほんと余計なことばっかり身に付けるよな、お前は」
「いっそのこと彼女作って留衣諦めてくれると有難いんだけどね」
「留衣は諦めませーん。…それはそうと、兄さん達留衣とイチャつき過ぎじゃない?」
「チョロ松兄さんに至ってはデートの約束までしたよね」と言い出したトド松にチョロ松が「地獄耳かよ」とビビっていた。仕事中なのにまあよく聞いてるもので。
流れで一人だけ輪に入れなかったことが気に食わなかったらしく、腕を組んでぷんぷんする末っ子。
「次こそ兄さん達着いてこないでよね!出禁だから!!」
「今日俺達何もやってなくない!?」
「前科があるでしょ!
あと留衣!今度僕とカフェね!!」
『はいはい』
「…結局お前も留衣に面倒かけるんだなトッティ」
「あっ仕事戻らなきゃ、じゃあね留衣!また来てね!ストーカーにはくれぐれも気をつけて!!」
「バイバイ」と手を振って駆けていったトド松に手を振り返す。
今回のバイトは長く続くといいね、なんてエールを贈りながら見送った。
その後、履歴書が嘘で塗り固められていたのが発覚して問題になるのはまた別の話。
5人の悪魔再来 2
(みんなもバイトしたら?)
(パチンコで勝てばいいっしょ)
(…ダメだなあ)
END.
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